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「エリス様へ?一体どなたからですか?」
「それが…、贈り主は分からないそうです」
召使いが両手で持ってきたカゴには蓋がされていて中は覗けない。
外見は何の変哲も無いただのカゴだったが、エリスは例えようのない不安を覚えた。
「え?それではお返しをお贈りする事もできませんね…。私が中身を確かめます」
(贈り主が不明?それって…………ッ!?)
「駄目!それを開けちゃ────」
心当たりを思い出したエリスが止めようとした時、世話係の手はすでにカゴの蓋へと添えられていた。そして……。
「まぁ…!綺麗なお花!」
「……花?」
「はい!エリス様もご覧下さい!」
蓋を開けた彼女は中身を見てパッと明るい笑顔になった。
そうして嬉しそうに弾んだ声で彼女が持ってきたカゴの中には、茎を短めに切った花が隙間なく敷き詰められている。
まるで満開の花畑を閉じ込めたようなその小さな箱庭は本当に見事で、女性のみならず男であるエリスもつい手を伸ばし花びらの中に指先を埋めた。
しかし、途端に細い痛みが指先を突く。
「──っ!!」
「エリス様?───きゃっ…、蛇っ!?誰か!誰か来て!!」
棘が深く刺さったのかと思い手を引いてみれば、花びらの隙間からシュルリと小さな蛇が顔を出した。
エリスはすぐにその牙の痕が残る傷口から血を吸い出して吐き出したが、すでに指先が痺れ始めている。
(なる程……。棘じゃ足らないって?やってくれるよ…あの人)
「エリス様!!」
「…大丈夫。少しくらいは吸い出したし、多分そんなに強い毒じゃないと思うから」
「あ…っ、申し訳…ございません…っ!私の不注意で!」
「違うよ。君のせいなんかじゃ…っ」
「っ!!しっかりなさって下さい…!!じきに医者が────っエリス様!?エリス様!!」
脚から力が抜け、よろめいたエリスは壁に手を着いて支えようとしたが叶わず、とうとう床に崩れてしまった。
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