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「エリ……」
「信じて…オレを…。きっとすぐ…っ…」
アルベルトは無理やり笑って見せるエリスを今すぐ抱きしめたかったが、下唇を噛んでその衝動を凌ぐ。
こうして強がって見せていても本当はかなり苦痛なはず。
そうまでして自分の背中を押すエリスの心遣いを踏みにじる事はできなかった。
「夜になればまた来る。……死ぬなよ」
「うん…」
────エリスを信じよう。
胸に秘めた内なる想い抱え、アルベルトはエリスの髪を一撫でして部屋を出た。
それに続き、エドリオも急ぎ足で彼を追う。
「あのような者に心を許してはなりません。彼はただの玩具だったはず。それが今やどうですか?すっかり翻弄されてミイラ取りがミイラに…」
「それの何が悪い…。確かに最初は物珍しさから囲ったが、今では俺にとって必要不可欠な存在だ。エド、お前のようにな」
「っ…!!アルベルト様────!!」
「ッ──!?エド…っ…?」
突然アルベルトの景色が変わり背中に僅かな痛みが走る。
そして何度か瞬く内に、襟元をきつく掴むエドリオの手によって壁に押し付けられている状況を把握した。
エドリオは今にも襲いかかる獣のような鋭い目付きで彼を睨みつけ、ギリッと歯を噛み締めていた。
エドリオのこんな表情は今までに一度も目にした事はなく、アルベルトは只々目を丸くする。
「私とあの者が…同じだと…?幼少期からあなたを支えてきた私が?文学から兵法、そして男の抱き方までお教えしてきたのは誰だと…?」
「エド…っ、落ち着け……ッ」
「私が教えた方法であなたは今、彼を悦ばせている……違いますか?今日まで全ての面に置いてあなたを支えてきたのは私です…!それなのに…ッ」
エドリオの言い分はもっともだった。
幼い頃に母親という唯一の存在を亡くしたアルベルトに大きく温かい愛情を教えたのは彼だ。
それは兄のように寛大で、時に師のように厳しく、そして男娼のように淫らで…。
アルベルトに全てを捧げ、愛情を惜しみなく注いできたエドリオにとって、たった数ヶ月前に出逢った男と同じ認識をされたのはこの上ない屈辱だった。
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