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「…………」
「悪い、起こしたか?」
「ん……、そんな事…ないよ。結構眠ってた気がするから」
目を開けたエリスは虚ろな瞳のまま、どこかまだ意識がはっきりしていない口調で答えた。
だが身体の強張りは無くなり脱力している様子から、朝よりかは随分と楽になったようだ。
「身体の調子は?」
「うん。まだ痺れてるけどそれ以外は平気。もう何ともないよ」
「痺れている時点で何とも無いわけがないだろう?全く…」
今朝会ったばかりだと言うのに、呆れと安堵が混ざるアルベルトの声はエリスの耳に懐かしさを届けた。
しばらく会っていなかったせいかもしれない。
アルベルトの手が触れている額を中心に、顔全体が熱く感じる。
……まだ熱があるのかもしれない。
「…?熱が上がってきていないか?」
「まっ、まだ完全には下がってないから…!」
「……?何を焦っている?」
「焦ってなんかない…!そんなんじゃ……」
言えば言うほどボロが出ている気がしたエリスは途中で口を噤んだ。
彼が傍に居るだけでやっと落ち着きをみせてきた心臓がまた走り出し、そんな自分に戸惑う。
気付かないふりをしているだけで、本当は気付いてる。
でもそれはいつまで続く?いつまで続けられる?
そしてそれを自分自身で認める日は来るのだろうか?
不意にエリスの頭をそんな考えが過った時、アルベルトは真剣な顔付きで静かに口を開いた。
「…エリ。俺はこの数日、お前を避けていた。その事には気付いていたか?」
「!?…うん。嫌われたんだと思った」
「……そうか」
気不味くないと言えば嘘になる重い沈黙が突然訪れ、エリスは彼の視線から目を逸らし背中を向けた。
二人で宮殿を抜け出したあの日。
互いの思考の違いを知った事で距離を置かれたエリスは、アルベルトに対して未だ不安を拭い去れないでいる。
もし今、自由の身にでもされたら……。
エリスはベッドの隅に僅かな視線を送ってその時が来ないよう純粋に祈る気持ちで次なる行動を予測しようとした。
「……お前に話したい事がある」
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