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「────ッ!!ンッンン!?」
「あなたは人に取り入るのが本当に上手い。愛人だけでは飽き足らず、今度は役職ですと?ですがそれがいつまでも通用すると思ったら大間違いだ」
背後からエリスの腕を捻り上げて床に押し伏せるその声は冷ややかに笑っていた。
でも本当に笑っているわけではない。
それは怒りと憎しみが混ざり合う、憎悪がもたらす声色だ。
「エド、リオ…!」
「あなたはブルーノという男を、以前から存じておりましたね?」
「っ!?」
「我が国の配下である国にいた時から何度か会っていた…。調べさせていた部下がようやくその尻尾を掴みましてね。あなたに花が送られてきた事があったでしょう?あの犯人から足取りが掴めました。…これであなたは終わりだ!」
「ッ…!?な、なにをッ……!」
エリスは着衣の裾から滑り込んだエドリオの手に、これから起こる事を悟り青ざめた。
「あの方に散々愛されたこの忌々しい身体をどうしてくれよう…。そうだ、皆の慰みものにでもしてしまいましょうか。私の精をたっぷり注ぎ込めば、皇子は途端に興味を失う」
「っ!!」
このまま彼と通じてしまえば自分の中に芽生えた大切な何かが壊れてしまう。
アルベルトを失ってしまう。
────ならばいっそ、彼を奪ってしまおう。
「ッ……、は…なせ……ッ!!」
「ッ…!」
エリスは力の限り暴れ回り、なんとかエドリオの腕から脱すると転がり込むように自室へと向かった。
ナイフを取る為だ。
「……情けない」
怪しく鈍い輝きを放つナイフに顔を写り、その傷心しきった自分の顔つきに苦笑いをする。
元々こうするはずだった。こうなるべきだった。
それがいつの間にか彼に惹かれ、共に生きていきたいとさえ願ってしまう。
しかしそれは、エリスにとって過ぎた願いだったのかもしれない。
片付かない心のまま、エリスはエドリオよりも先にアルベルトを捕まえる為、再び部屋を飛び出した。
「エリ?」
「アル…ベルト…」
「どうしたんだ?思い詰めた顔をして…。何かあったか?」
そうして執務室に飛び込んだエリスの姿がアルベルトにはよく見えなかったのだろう。
思い詰めたエリスの手にある冷たい輝きを放つナイフが。
そして、追い詰められた彼の下した答えが。
エリスは咄嗟にナイフを背に隠し、ゆっくりと片手を伸ばして愛する人を隣部屋のベッドへと誘った。
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