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「先輩。そんな離れてないで近くに来てくださいよ」
「嫌だ」
「もー」
あれから、鈴原は一緒に俺の家に帰って来た。
俺を襲いかけた男がどうなったかは......知らない。
そいつが見えないところに連れていかれてから、ネクタイを外されたからだ。
正直言ってすげえ怖かった。
もちろん鈴原が。
だから、ソファに座る鈴原からできるだけ離れるように部屋の隅に座った。
でも鈴原はそれを許さない。
「陽先輩。三秒以内にこないと、お仕置きですよ」
「誰が行くかっ!」
「はい?」
氷のように冷たくなった表情と声に、思わず肩を震わせてしまった。
それに気づいた鈴原は、ため息をつく。
そして困ったような顔で笑った。
「ごめん先輩。大丈夫だから。あんまり怖がらないでください」
そんな顔でそんなこと言われたら、従うしかない。
一応、助けてくれたわけだし。
恐る恐る近づくと、手を引かれて、鈴原の膝の上に向かい合うように座らされる。
「ちょっ!やめろ!恥ずかしいっ」
「嫌だ」
鈴原は駄々っ子のような声を出して、抱きついてくる。
「怖がらせてごめんね。でも、先輩が他の男にヤられそうになったと思うと抑えられなかった」
「結局ちょっと触られただけだし」
「それでも嫌だ。先輩に触れていいのは俺だけがいい。そうじゃないと許せない」
「......俺のこと好きすぎだろ」
「そうだよ。先輩のこと大好き。先輩が俺のこと好きじゃなくても、ずっと愛してる」
「......」
なんでこいつはこんなに与えてくれるのか。
少しは返さないとダメかもしれない......。いや、返したい。
鈴原が傷つく顔は、なぜだか見たくない。
そう思って鈴原の背中に手をまわし、少しだけ力を込める。
「先輩?」
鈴原は俺を見つめて不思議そうな顔をした。
「俺は鈴原のこと好きじゃない」
その言葉に少し顔を歪めたが、すぐに笑顔をつくる。
「わかってますって」
「でも!」
俺は意を決して、言葉を続けた。
「でも、あの時頭に浮かんだのは鈴原だったから......」
「......?」
「す、少しは、信用してる......かも」
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