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入り口の貼り紙にあった通り、それから毎日晩里は部屋にやって来た。
朝ごはんが終わって昼ごはんまでの間に各部屋を巡回して掃除を済ませる。
見た目を裏切らない有能さで晩里はゴミ箱の中身を回収し、机を丁寧に拭いて、業務用の大きな掃除機で床を綺麗にするという工程をテキパキとこなしてゆく。
授業を受けに行ったりして留守にする際はホテルにあるような『起こさないでください』の札を裏返していけば勝手に掃除して貰える。
在室しているときは晩里が掃除をしている間、自分はベッドの上でただひたすらゴロゴロしているだけでいいからラクチンだ。
ベッドのリネンも定期的に取り替えて貰えるからホテルさながらの生活で快適この上ない。
と、初めのうちは良かったけど、そんな暮らしにも慣れてくるとだんだん悪い面も目についてくる。
晩里はとにかく口うるさい。
上品で物静かな人かなと思っていたけど蓋を開けてみれば何のことはない、中身はただのオカンだった。
「どうやったら1日でここまで散らかせるんですか!」
そんなのこっちが聞きたいぐらいだ。
誰に教わったというわけでもない、生まれもっての才能なんだから。
もうー。
そんなに怒るんだったら別に掃除してくれなくてもいいんだよ?
「いいじゃん。俺の部屋なんだからー」
そんな事言うと「いいわけないでしょう!!」とキレられるけど。
片付け魔の晩里と散らかし魔の俺とのコントのようなやり取りは短期間ですっかり定着した。
俺の部屋にはとにかく床に色んなものが散らばっている。
コンビニの袋やレシート、ガムの包み紙にストローの袋、丸めたティッシュ。
ゴミ箱に放り込もうとして届かなかったそれらも、1日後には晩里が来て容赦なく掃除機で吸い取っていってくれるからついつい散らかしっぱなしにしてしまう。
だけど晩里に怒られる。
めっちゃ怒られる。
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