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鈴にい-7(完)
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一大決心をして晩里を譲ってやったというのに、ユタカはポカンと口を開けている。
「身を引くって何の事ですか?」
「え? だって、晩里と付き合ってるんじゃないの?」
「誰がおじさんと!」
「晩里はまだおじさんじゃないよ!!」
「おじさんですもん」
ん?
俺とユタカの言う「おじさん」は字が違う気がする。
「ユタカって晩里の」
「甥っ子です」
「……」
「……」
「家族や親戚が寮長をやっている寮には入れない事になっているんです」
「そうなの?」
他の寮生との公平を保つために出来たルールで、成文化はされていないが寮長界での暗黙の了解とされているのだ。
「それで、関係を寮のみんなに隠していたんです」
ユタカはごめんなさいと頭を下げた。
「出来れば他のみんなには黙ってて貰えるとありがたいです」
「なーんだ、そんな事」
そんな事だったのか。
解決してしまえばあれだけ思い悩んでいた自分が馬鹿らしく思える。
「心配して損した!!」
「先輩、食べましょ。冷めますよ」
ユタカが手に取ってくれた豚まんは、まだ温かくて皮の潤いも健在だった。
「今度、俺の試合をおじさんと見に来てください」
「そのおじさんっての何とかならない?」
「じゃあ、鈴にいで」
「おじさんでいい!」
2人は顔を見合わせて笑いあった。
「あ、溢れた」
「あーあ、明日晩里に罰則されるよ」
「先輩がですよね?」
「何で俺!?」
「2人ともです!!」
いつの間に入って来たのか、晩里が腕を組んで仁王立ちしていた。
「今回だけはと思い、部屋で食べるのを許しましたがやっぱり解禁は撤回です!!」
こうして、望夢の嫉妬騒動は無事に幕を引いた。
(完)
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