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沢井流が来たよ-4(完)
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「まだ戻って来ないのか」
「困りましたねー」
朝食の用意はすっかり整っているから先に食べたらいいのに、3人は律儀に残りのメンバーを待っている。
本番は10時からだからそろそろ朝食を摂ってしまわないと間に合わなくなる。
「俺、探して来ます!」
椅子からスッと立ち上がって駆け出していったのは小柄な虎太郎さんだった。
「いいのか? お前は行かなくて」
「俺は……」
「ここに来る途中に池があったぞ。溺れてたらどうする?」
「!」
志朗さんも駆け出して行って、悠夜さんだけが残された。
悠夜さんは新聞を開いて暫く眺めていたが、突然顔を上げた。
「なぁ」
「はい」
「好きなやつが居るなら、さっさと好きって言った方がいいぞ。じゃないと誰かに取られて後悔するぜ」
「それは、どういう」
「悠夜兄さん!!」
何故いきなりそんな事を言い出したのか聞こうとしたら息を切らした虎太郎さんが飛び込んできた。
「葵琉先輩発見しました!」
「おう、良かったな。さぁ、さっさと飯食って準備だ準備」
食堂に戻って来た葵琉さんから不審者を見るような視線を向けられて、望夢から何を吹き込まれたのか一瞬で悟る。
はぁ……。
せっかくいい友人たちに巡り会えたと思ったのに。
望夢にお仕置きをしようと心に誓ったところで、その望夢の姿がない事に気付いた。
「あ、あの、望夢は?」
葵琉さんは何も話してくれなさそうだから虎太郎さんに尋ねた。
「他の寮の友人に用があるとおっしゃって出掛けていかれました」
「そうですか」
帰って来たらとっちめてやる!!
その念が届いたのか、望夢が第5寮に戻って来たのは1週間後の事だった。
(完)
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