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his genome-3
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翌朝――。
「おはようございます」
鈴にいおはよー、と挨拶をしようと挙げた手が何かに引っ掛かった。
「おっはー!!」
「何故にお前がここに居る!!」
「晩里に似てるから」
「はああっ!?」
寝起きだというのに異常にハイテンションなキリさんと爽やかな朝だというのに異常に不機嫌な鈴にいが舌戦を繰り広げ出した。
「晩里ぃ、昨日ぶり~」
ベシッ。
ベッドからピョコンと降りて鈴にいに抱きつこうとしたキリさんは次の瞬間、地べたに突っ伏していた。
決まり手、はたき込みで晩里山の勝ち~。
「俺が優しく言い聞かせているうちに帰れ」
「いや~ん、晩里冷た~い」
ベシッ。
身体をくねくねさせるキリさんのお尻に今度は鈴にいの回し蹴りが炸裂した。
「おふっ」
それなりのダメージはあったようで、キリさんは床に踞って呻いている。
「おい!」
「なーにー?」
鈴にいに呼ばれただけで嬉々として振り向くキリさんが実家で飼っている柴犬のポチに見えて仕方がない。
「お前、ここに付いているのは何だ?」
鈴にいの持った掃除機のノズルがキリさんの背中を突っついた。
「んー? 何だろ?」
キリさんは背後に手を回して指先で回収してきた粉を確かめるように口に突っ込んだ。
「あー、この味知ってる。これ昨夜寝ながら食べたお菓子の潰れたやつだ」
は?
俺そんなの知らないけど!
「何くっ」
カチカチカチッ。ブォーン。
プシューッ、プシュッ。
何食ったんですか、キリさん! と問い詰めようとした俺の言葉は掃除機の音に飲み込まれた。
罰則……だ。
前に部屋でお菓子を食べた先輩が鈴にいから身体中を吸い回されていた。
こんな華奢な人にそこまで酷い事をしなくても……。
元はと言えばこの寮のルールを説明していなかった俺が悪いんだ。
俺が鈴にいに謝って止めて貰わないと。
――ん!?
鈴にいの肩を叩こうとした手が止まった。
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