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his genome-7
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キリさんだ。
本物……だよな?
俺の欲望が生み出した幻想じゃないよな?
陶器のように滑らかな肌も緩いウェーブの掛かった黒髪も、この人を構成する全てが綺麗過ぎて精巧に作られた人形のように感じてしまう。
黙っていれば相当モテるんだろうな。
そんな失礼な事を考えながら見つめているとキリさんが身動ぎをした。
「……んー?」
俺がさっき点けたスタンドの灯りが眩しかったのか、ほんの少し開いた瞳がこっちを見た。
「あ!」
ポケッと突っ立っていた俺に焦点が合った途端、キリさんの目が全開になる。
トクンッ。
髪の色と同じ真っ黒な瞳と視線が交わった途端心臓が大きく弾んだ。
「おひさ~!」
「キリさん……」
寝起きだというのにハイテンションなキリさんは俺に向かってブンブンと手を振ってくれるけど、何かと後ろ暗い所のある俺は顔がまともに見れない。
来てくれて嬉しいです。
俺、キリさんに会いたかった。
口を開けば一目散に飛び出そうとする本音は心の奥の方に押し込んで、当たり障りのない挨拶を模索する。
お久し振りです……ってのも何か違う気がするし、何て言ったらいいのか。
俺はどうやってキリさんに接していたんだっけ?
思い出せないまま口を開いた。
「何で俺のベッドで寝てるんですか」
「晩里に似てるから」
……。
それ前にも聞いたよ、キリさん。
キリさんはよっぽど鈴にいの事が好きなんだな。
昔の恋人にまだ未練があるから、鈴にいに似てる俺の事を身代わりにしている。
俺と鈴にいに共通する遺伝子がなければ、この人は2度と俺の部屋を訪れなかっただろう。
そう考えると、鈴にいの親戚である事に感謝するべきなんだろうけど何故だか素直には認められなかった。
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