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his genome-10
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キリさんが纏うユルーっとした独特の雰囲気が一瞬サッと掻き消えて真面目な顔が姿を現した。
誰彼構わずじゃない。
その対義語は?
「ユタカになら抱かれてもいいと思った」
え!?
それって……?
表情を変えまいと顔を引き締めるのが間に合わず少々にやけてしまった。
だけど、その後にキリさんの口から出た言葉に盛り上がっていた顔中の筋肉は一斉に項垂れた。
「晩里に似てるから」
やっぱり。
やっぱり俺は鈴にいの身代わりでしかないんだ。
一瞬でも期待してしまった自分が恥ずかしい。
さあ、寝ますよとキリさんの頭までスポッと布団で包み込んで壁の方へ押しやった。
キリさんはちょっとの間大人しくしていたけどすぐにモゾモゾと脱け出してきた。
「俺とシたくないの?」
「ない」
発情期の雄猫か、この人は!
どれだけ性欲に溢れてるんだ!
「キリさんお一人でどうぞ」
「んー、無理」
「?」
「おれ、道具がないとイけない子だから」
「道具?」
「晩里が使ってたでしょ?」
まさか……。
「晩里の部屋からこっそり借りてこれる?」
「え……」
掃除機をこっそり……それってかなりハードルが高い気がする。
しかもこんな夜更けに。
「明日の朝でいいよ」
明日の朝でって、それこそ鈴にいが寮内の掃除で使ってる気がするんですけど。
「じゃ、明日よろしく!」
さー寝よ寝よと布団に潜り込んでしまった。
すぐに寝息を立て始めたキリさんと反対に俺はなかなか寝付けない。
「んっ……ばんり」
寝言でも鈴にいの事ばっかり。
この人は、俺なんか眼中にない。
俺の中に流れる鈴江家の血が、俺の何処かに存在する鈴にいの遺伝子が好きなだけなんだ。
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