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台風の日に-2
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鬼が吠えた。
もとい、晩里が絶叫した。
「は、ほらあんまり大声を出すと、ホテルの他のお客さんに迷惑だよ」
「そんなことは今はどうでもいいのです。今すぐシーツを剥がしてランドリールームに持って行きなさい。それから」
「それから?」
「3分以内に掃除機を持って部屋に戻って来るように。3分経ったらまた電話をするので、それまでに戻っていなければ命はないですからね」
そう言い放つと一方的に電話をプツリと切られた。
お、恐っそろしい~。
1個しか持っていない命は大事にしなきゃだから、言い付け通りにシーツを丸めてランドリールームに持っていった。
ガラガラと掃除機を引いて帰ってきたのを見計らったかのように電話が鳴る。
「ちゃんと掃除機は用意しましたね?」
「した」
命は惜しい。
部屋の掃除で許してもらえるなら、素直に言うことをきいてしっかり働いた方が得策だ。
「では、まず今着ているパジャマをお脱ぎなさい」
「え?」
何で掃除するのに脱ぐ?
「今日は台風でそんなに暑くないから着たままでも」
「何度言わせるのですか?」
ふぉおっ。
今日の晩里は怒りが半端じゃない。
歯向かうのは得策ではないと判断して素直にパジャマを脱ぎ捨てた。
「では、脱いだパジャマを隅々まで掃除機で綺麗になさい。そうですね、今7時55分だから8時になったらまた電話します。それまでに綺麗にしておくのですよ」
よく見ると、パジャマにも細かいカスがついている。晩里の目は誤魔化せなかった。
そういう事か~。確かにパジャマが汚れてたら掃除した側からまたゴミを撒き散らすもんね。
カチカチッ。
フィーーーン。
ブボッ。
ボボボボボッ。
床用の吸い口を外したノズルが衝撃と共に吸い付いたところから、細かいゴミがバラバラと吸い込まれてゆく。
ビョーーーッ。
ビョーーーッ。
ズポッ。
いつも、この強力な吸引が自らの身体を蹂躙していると思うとゾッとする。
良く耐えてるな、俺の身体。
今日は吸い手がいないから大事なところをギュウギュウ吸われる事もなくて安心だ。
服を引きちぎる勢いで食らいついた掃除機のおかげで、何とかタイムリミットまでに服をピッカピカに掃除し終えた。
あー、良かった。
ちょうど8時から見たいテレビがあったんだよね。
「もしも~し」
晩里からの電話はきっかり8時に掛かってきた。A型め。
画面越しに服の点検を終えてこれで解放されるよかと思いきや、晩里は次なる課題を課してきた。
「え? これで終わりじゃないの?」
「まだ着ているものがあるでしょう」
「ああ」
パンツも脱いで掃除しろという事かと、腰のゴムに手を伸ばしたところで待ったがかかった。
「履いたままで結構です」
「え?」
「それとも何ですか、何も身に付けずに直接吸い込みたいのですか?」
「な、何を吸い込むの?」
「罰則ですよ。ベッドで物を食べる悪い子にはお仕置きが必要でしょう」
決まっているでしょう? とばかりに晩里が言い放つ。
パンツを自分で吸い取れってこと?
「隙間用のノズルは持ってきましたか?」
「も、持ってない」
本当は持ってきてあるけど、ベッドの下に置いておいて良かった。
だって、あれで吸われると細い細い吸い口に力が一点集中して滅茶苦茶痛いんだよ。
「そうですか」
取って来なさいと言われるかと心配になったけど、何とか回避できたみたいでホッとする。
「では、今身に着けている布を隅から隅まで綺麗に吸い取りなさい。一ヶ所も逃さずですよ」
「で、でもスマホ持ちながらじゃやりにくいよ」
「そうですね」
うんうん。また5分後に電話して来るんだよね?
それまで吸ってたことにしてテレビ見とこうっと。
パジャマと違ってパンツは全然汚れてないから、やってもやらなくてもバレないし。
そんな俺の目論見が顔に出ていたのか、晩里は胡散臭そうな目で暫く俺を凝視していたと思うと、とんでもない事を言い出した。
「サイドボードのスタンドにスマホを立て掛けて、罰則を行っている姿を映し出しなさい」
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