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-病院-
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「奏汰」
聞きなれた声がする。何度も何度も、俺の名前を呼んでる。
だだっ広い草原に、何故か俺は立っていた。
声がする方とは反対に、道が続いてる。
「そっちへ行かないで」
「こっちへ来て、奏汰」
誰だ?聞き覚えのある、俺の大好きな声のはずなのに。誰に呼ばれてるのかわからない。
「奏汰…奏汰」
俺はどっちへ行くべきなんだ。
でも何だろう、この声に凄く安心するーー……
「こっちだよ」
手が暖かい。誰かに手を引かれている。
誰だかわからないのに、俺はその手に引かれるまま歩いた。
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「ん……」
目を開けると、そこには白い天井。
ツンとした薬の匂い。そして、腕には点滴。
あれ、ここ…病院?
「…奏汰…ッ!!」
「…紫音?」
「よかった…奏汰が病院に運ばれたって、電話来て…」
俺の携帯画面が、紫音の連絡先になっていたらしい。
…俺、無意識のうちにかけようとしてたのかな。
「皆来るって言ってたんだけど、あんまり大人数で押しかけたら病院に迷惑かと思って…ていうか、俺がいても経ってもいられなくて」
紫音が本当に心配そうな目を俺に向ける。
…あぁ、安心する。この目も、この声も。
「…ごめん、関わらないって言ったのに。さっそく関わっちゃった。」
「…しお、ん…」
「…奏汰が目覚めたら安心した。よかった。今日は家まで送るよ。奏汰が嫌じゃなければ」
「…嫌なわけねえだろ…」
「…優しいね、奏汰は」
そこで、俺は自分の手が暖かい事に気付く。
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