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臓のサイレン
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僕は生徒であの人は教師。
しんどくて、この気持ちを打ち明けようともした。
でも、やだ、だめ。
先生は先生で、俺はいつまでも先生の教え子。
そこを超えるのはイケナイ事だと脳が言った。
心臓が、うるさく響いた。
ある日、夕方の飯時にやってる番組が目に入った。
その日に生まれた赤ん坊を紹介する番組。
両親はいつも健やかで嬉しそう。
たまたま母がテレビをつけたままにしていただけだった。
僕はその時に嫌な予感を感じた。
皿を運びながら耳だけを傾けていると、どくっと心臓が跳ねた。
住んでいる場所、両親の名前、職業、全てが一緒。
僕の想い人と。
そんなの知りたくなかった。
直接テレビ画面を見ることができなかった。
次の日、クラス全員が先生のお祝いムードだった。
結婚していた事さえ誰にも話していなかったらしい。
俺の心臓はこんなにも張り裂けそうに鼓動しているのに。
先生は照れくさそうに笑ったんだ。
脳みそのイケナイ事だというサイレンは、間違ってなかった。
「皆、ありがとうな、先生は嬉しいぞ」
泣かないでくれよ先生。
僕は先生の事に1ミリも喜べないよ。
ねぇ、先生。
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