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男同士で意識するのは
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不敵に笑った顔もカッコよくて、ドキッと胸が高鳴ったのは仕方ない。
男相手でもカッコいいものは、カッコイイんだから。
彌先生って、僕の理想像なんだ。
顔も勿論羨ましいけど、子どもたち相手に接する姿や保育の進め方。
どれも尊敬できるから。
「ほら、見て。この雷の顔を」
そう言われて誌面を見る。
「可愛い」
「だろう?」
僕のひとことに、彌先生が耳元でそう囁いた。
耳がくすぐったくて押さえながら視線を向けると、彌先生が含み笑いをしながら僕の顔を見ていた。
「っ⁉」
慌てて顔を下に向けた。
何で僕の顔をそんな風に見てるんだろ。
そして何で僕は、こんなにもドキドキさせられなくちゃならないんだろう⁉
同じ男同士なのに、一方的に不必要な心臓の高鳴りに思わず胸に握った手を当てた。
「大夢先生。大丈夫か?」
すぐ隣で彌先生が心配している声がする。
男同士なのに、こんなに意識するのはコンプレックスを刺激されているからかもしれない。
きっとそうだ。
情けない自分に溜め息を小さく吐き出した。
そして、その思いを断ち切るように半ば強引に頭を切り替える。
「大丈夫です。すみません」
僕は顔を上げると、そう返した。
まだ少し心配そうな彌先生に笑顔で応える。
それから僕たちは分担して、壁面作りへと取りかかった。
作り方のコツを教えて貰いながら暫く黙々と作業をしていると、彌先生が思いだしと声を上げた。
「あ。もうこんな時間か」
置かれていた小さな時計を見ると一時半を過ぎていた。
大方二時になろうとしている。
「休憩の時間だ。大夢先生、ここで作業しながらでもいいかな?」
「はい。大丈夫です」
時間になると、先生たちは交代で休憩をとる。
一般の会社みたいにそんなに長くはとれないけど、全くとれない保育所も多いみたいだから。
それを考えると、月森保育所は良いのだろう。
保育士不足だから、人が居ないところなんかは尚更らしい。
「よし。じゃぁ、お茶とお菓子を取ってくるから作業続けてて」
言いながら立とうと、方膝をついた彌先生を僕は引き止めた。
「いいですよっ!僕が持ってきますから」
それでもという先生を置いて、僕は素早く部屋を出た。
先生にお茶の用意をさせるなんて言語道断だ。
あんな風に気を使われると、こっちが余計に疲れる。
彌先生は優しい。
だけど、あの流れ出るフェロモンのせいか時々息苦しくなる…。
「はぁっ」
僕はトボトボと静かな廊下を休憩室へと向かった。
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