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イッツ ア スモール ワールド
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「で?どうだったわけ?」
朝出会って、第一声がこれである。
ナリヤは挨拶をした俺に挨拶を返しもしないで言い放った。
どう、というのは、恐らくガクの家に行ったことだろう。
「どうって、普通だよ」
「お前、荒木さんの家に何人の女子が行きたがったと思ってるんだ。ちゃんと、感想聞かせろよ」
「えー……本当に普通。やっぱり、見た目通り綺麗にしてたし」
「ほうほう」
「中学の時の話で盛り上がった」
「荒木さんって、昔からあんな感じだったの?」
ガクの中学時代……
どうだったろうか。
確かに昔から爽やかなイケメンって感じだった。背は俺とあまり変わらなかったけど、卒業する頃には、俺より高くなってて、悔しいけど今は大分差がある。
「うーん。今のガクをあまり知らないから何とも言いえない。でも、昔から女子にはモテてたな」
よくガクが告白を受けるために、校門で待たされたものだ。
女子も俺がいるタイミングを狙わなくてもいいだろうに。
でも、何故かガクは誰ひとりとして告白を受けることはなかった。もしかしたら、好きな人がいたかもしれないけど、俺はガクのそういうところに興味なかったし、ガクも言いたそうになかったから、聞かなかった。
要は、ガクに好きな人がいたら、何て反応していいか分からなかったから、怖かったのだ。
「それにしても、奇遇だよな。中学の時の先輩と再会するなんて」
「当事者の俺がびっくりだよ。ガクの卒業以来会ってなかったからなー」
「中学ってことは、地元一緒だろ?そこら辺で会ったりしなかったのか?」
「うーん。なかった…そういえば」
「俺なんて、地元の人間には近くのコンビニとかで出会っちゃうけどな」
「確かに。よく中学の時の他の友達には会ったな。でも、ガクには……」
ガクには、なぜ会わなかったんだろう。
ガクが一人暮らしをしているのはいつから?
そもそも、ガクに卒業後会ったという情報が全くない。
文芸部の奴らも、街でガクを見たと1度も言ってこなかった。
もしかして、ガクは何らかの理由で、地元を離れたのだろうか……
俺は、ガクの進学した高校すらも分からなかった。
ガクも俺に高校を教えなかった。
「荒木さんさ、高校の時もモテただろうな。今もあんなんだし」
「確かに。ガクがいたら、みんな好きになるよ」
「ふーん。なんか、そう考えたら、お前と荒木さんは不思議な関係だな」
「どうせ、俺はモテないよ」
「まあ、イッツ ア スモール ワールドってところだな」
「それどういう意味?」
ナリヤは謎の言葉を言った。
「世界は狭いってことだよ」
確かに、俺とガクはこんなに広い世の中でまた出会ったのだから、俺たちがすごいというよりは、世界が狭いって思った方が正しいかもしれない。
それにしても、これは著作権的に大丈夫だろうか。
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