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説教
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目が覚めた。
俺は、目を覚ますことが出来たことに感動した。
でも、目の前は白くて明るいものがあって、目を思わず閉じた。
ゆっくり開けると、今度は白くて明るいものではなくて、黒い影が見えた。
「起きたね」
そこにいたのは、さっき意識を失う直前に聞こえた気がした声の主だった。
ガクだ。
ガクの顔が、あった。
表情は暗くてわからない。
頭がガンガンする。
ん?
「ここ……どこ」
びっくりするような掠れた声が俺の口から出た。
「ここは、公園のベンチ」
そうか。ベンチか。
俺、ガクに膝枕して貰ってんのかな。頭のところあったかい。
こんな所サークルの女子に見られたら羨ましがられるだろうな。
ガクの太ももは少し柔らかいけど、筋肉なのか硬い。
俺、硬い枕のが好き……
「ユキ、ちょっと起きて」
あれ?ガクの声が少し鋭い。
俺はガクに頭を持ち上げられ、無理やりな形で起こされた。
「ユキ。今日は、どうしてお酒飲んでるの」
まるで、子供を叱る親のようなトーン。
思わずこちらも叱られている子供みたいになる。
「知り合いに合コンに誘われて……」
「じゃあ、なんで公園で襲われそうになってるの」
襲われる?!
ああ、そうか。俺、通り魔に殺されそうだったんだ。
「いや、なんかいつもより何故かフラフラしてて、こんなの見られたくないやって思って、住宅街歩いてたら、公園があって、ちょっと寄ってみようと思って……」
「こんな夜遅い時間に、こんな人気のないところに寄ってみようとしたの」
「……はい」
「ユキ、ちょっと考え無さすぎ」
ガクがため息をついて、俺を窘めた。
酔いは覚めたかけど、ガンガンする頭で、ガクに嫌われたのではないかと不安になっていることがわかる。
ガクがこんなに鋭い声で俺に話しかけたのは初めてだ。
「ユキ、わかってる?」
そういうと、ガクは俺に顔を思い切り近付けてきた。
その距離、5センチ。
いや、もうつくよ、鼻同士が。
ガクの目が俺の目を捉えている。
俺は、思わずギュッと目を瞑った。
「ユキ、このまま、キスされてたよ。もしかしたら、キス以上のことされてたかもよ」
「あれは、通り魔じゃ……!」
「殴って問い詰めたら、『柳瀬』とか言ってたけど?」
柳瀬。
それは、この合コンを開いた人物で、俺のことを二次会にひたすら引き留めようとしていた人物でもある。
カラオケの前でわかれたはずなのに、どうして……
「ユキ。世の中には色々な人がいるんだよ」
「色々な人?」
「同性が性の対象だって人もいる。柳瀬は間違いなくそのタイプだよ。その人たちから見たら、ユキみたいなのは可愛くて仕方ないんだ」
俺は、ガクの口から「可愛い」という単語が出てきて、少しドキリとした。
「僕は、ユキに怖い思いはしてほしくない。だから、今度から気を付けて」
ガクの忠告にはちゃんと従った方がいい。何故かそう思った。
ガクに嫌われたくない。
無意識にそう思っていた。
ガクに嫌われないようにするには、もう二度と今日みたいなことはしちゃダメだ。
お酒にも気を付けよう。
そう、心から思った。
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