アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
どうして
-
時が止まるとはこのことを言うのだろうか。
目を見開いて、涙は止まり、身体は硬直、目の前にはガクの肌。
唇には柔らかくて暖かい感触。
俺は、今、ガクにキスをされている。
思考停止。
リアルに。
比喩表現でなく。
というか、どうしよう……。
息ってどうやってするんだっけ?
なんて考えているうちに、ガクがゆっくりと俺から離れていた。
「泣き止んだ」
いや、なに、この人。
「泣かないでよ、ユキ。泣いたら、」
再び近付いてくるガクの顔。
俺は、相変わらず動けない。
「また、するよ?」
どうして。
ガクは、なんで……
俺の中で、二つの感情が湧き上がった。
次の瞬間には、逃げるように、バルコニーを後にした。
ガクは追ってこなかった。
俺は、ガクと話さないっていう女子との約束(した覚えはないが)を破っていたことなんてもう考えてなかった。
ただ、泣いた以外の理由で、顔が真っ赤になっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 36