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山眠る ~プレ2
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「まぁ、ありがちだね」
雑然と物が置かれたアップライトピアノが想像できた。
家に来たころは、巧いとは言えないながらも、音を奏でていたに違いない。いつしか回数が減り、もう調律なしでは弾くことできないだろう。
「なぁ、トルコ行進曲弾ける? 俺、クラシックの曲名で知ってるのってこれくらいしかないんだよね」
「逆にそっちの方が珍しいわ」
「クラシックは聴いたことあるけど、曲名がなぁ…」
「キラキラ星もクラシックだよ」
「へぇ、そうなの? で、弾ける?」
「ここじゃ弾けないよ。ってか聴けないよ。消音ペダルベタ踏みだし」
藍は、のろのろと着替えながら言った。
「学校は? ピアノくらいあるよね?」
「学校に来んの? 店は?」
「明日、始業式だけでしょ? 重役出勤すれば大丈夫」
綾哉は言葉の強引さを消すようににっこりと笑った。
この駆引きの巧さが社長たる所以なのか。
「…意外に不真面目だな」
藍は呆れ顔で言った。
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