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春の章一 風光る
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「なぁ、オリンピックってホンマ?」
今度は可児が訊いた。
「周りが勝手に騒いでるだけだよ。うちの道場はどこの連盟にも属してないし、今更ひん……何だ、ひん……せい?」
「ひんせい?」
「ほら、真面目で正しいって」
「あぁ、品行方正?」
「それになれないだろ? 散々、喧嘩してんのにさ。俺みたいなのが出ちゃ、真剣に目指してる人達に対して失礼だよ」
「ふ…ん、なるほどなぁ」
遊命が、他人の立場を考えて発言していることに、可児は少なからず驚いた。
「それより、俺の勉強みるって本気?」
「俺はえぇけど。遊命にその気があんのやったら」
「……」
「嫌なん?」
「……いや、どうにかしなきゃとは思ってんだけどさ……」
「取りあえず、明日の実力テスト受けてから考えればえぇんちゃう?」
「…そうしよっかな…」
思いがけない他人からの情報が、互いを知るきっかけとなった。
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