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春の章一 風光る
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「一般的に高校生になるとさ、他に楽しいことができちゃうだろ? 異性とか、スポーツとか、アルバイトとかさ。進学校だったら大学受験にがっつり取り組むんだろうけど、田崎はどれにものめり込む感じがなさそうだから、勉強の楽しさを教えてやって欲しいんだよなぁ…。どうだ?」
「どうだ?って、それ、先生の仕事やん」
「だから、俺は他の奴らで手ぇいっぱいなんだって。仲いいんだろ? おまえら」
「…悪くはないけど…勉強を教える俺のメリットは?」
可児にとって勉強を教えることは苦じゃない。
ただ、教師の言いなりになるのと、手を掛ける前に生徒を見放す態度が癇に触った。
「何だ? 俺を買収する気か?」
担任は一瞬、身を引き、険しい顔つきになった。
「…言っとくが、教師なんて薄給だからな」
「取りあえず金品、物品はまずいんで…、そうやなぁ、今んとこ思い浮かばへんからそれは後で言うとして…」
「…よしっ、商談成立だな」
「商談って…」
「いいか可児。この話はおまえが自発的に行ったもので、俺は一切関係ないからな。それと田崎が進級できなかったら、可児が横浜に来た訳を学校中にばらすから、そのつもりで」
「…!って、おいコラ!! このどグサレ教師っ!」
「何とでも言え。進級人数が俺の評価だ」
担任はそそくさと立ち上がり、自席へと戻っていった。
「話はそれだけだ。もう帰っていいぞ」
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