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春の章一 風光る
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遊命の顔が真顔になり、藍を見つめ返す。
敵意がないのに、両手首を拘束され、顔を優しく触られる、ということが遊命の中で一つに繋がらない。どう対処していいのか分からず、藍の目を見つめたまま身動き出来ずにいた。
藍の手が顎のラインから首筋へと滑り落ち、胸元のファスナーにかかった。
藍はゆっくりとファスナーを下ろし、下に着ていた開襟シャツから覗く鎖骨に指を這わす。
間近にある藍の顔が、更に近づき、お互いの肌が触れ合うと、藍は遊命の口元にあるホクロに舌を這わせた。
「遊命のホクロ、汚しちゃった」
「…は? …んっ…」
遊命が次の言葉を発する前に、藍は唇を重ねた。
鎖骨を撫でていた指は、遊命の胸へと落ちてゆき、小さな突起を捉えると、カリと爪で引っ掻いた。
「…藍ちゃん、痛いんですけど…」
塞がれた唇の隙間から遊命が訴えた。
「まだ、痛みの方が強い?」
「いきなり引っ掻いたら痛いよ。先ずは撫でてやらないと」
なぁ、遊命?と、遊命の肩越しに綾哉が言った。
藍はシャツの上から、遊命の胸を、円を描くように撫で、もう一度、今度は深く唇を重ねた。
遊命の口腔を、生暖かい別の生き物が這う。舌をいいように弄ばれ、唇を吸われた。
耳も同じように、綾哉によって弄ばれた。耳朶の甘噛みから始まり、耳の輪郭に沿って舌が這うと、慣れない感覚に、遊命は肩を竦めた。
唇が離れ、透明な糸が一条、少したゆんで切れた。
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