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春の章二 霾(つちふる)
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ハイハイ、とオチをつけ、藍は遊命の顔をじっと見つめた。
「何?」
「遊命は昔やんちゃだったの?」
藍が遊命との距離を詰めた。
「やんちゃ? 何で?」
「保護観察に詳しそうだったからさ。処分された?」
「いや。でも覚悟したことはある」
「やっぱりやんちゃだったんじゃん。何があったの?」
「別に大したことじゃないよ」
「俺も遊命のこと好きだから、知りたいけどね」
藍が、音楽室での出来事を繰り返すように、遊命の口元を撫でた。
華やかな藍の顔が近づく。
少し垂れ目で、でも柔和な感じはしない。口許に笑みを湛えると斜に構えているように見えた。
「藍ちゃん、節操ないって言われない?」
「よく言われる」
藍がふっと微笑んだ。
「可児が俺のこと好きって分かってて、俺に手ぇ出すってどうよ」
「可児が…じゃなくて、遊命がどう思ってるかじゃないの? 俺のこと好き?」
藍の視線は逸らされることなく、真剣に遊命を捕らえている。
「うん」
「じゃ、問題ないよね?」
「また、可児から恨まれるんじゃないの?」
「別にいいよ。俺、可児のこと好きじゃないし」
「って言うか、取りあえず謝った…ら…」
藍の顔が更に近づき、唇が塞がれた。藍は遊命の髪を梳き、息継ぎするのも難しいくらい唇を押し付けた。
「……ん…っ」
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