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夏の章二 清明(せいめい)
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「おまえ、聞きたいだけやろ?」
「うん」
遊命が、曇りのない眼で可児を見つめる。
澄んだその瞳に、可児の口が緩んだ。
「元凶はおかんやねん。あの人、自分のスキルアップのためなら、手段を選ばんのよ。クライアントから、『結婚してない人には分からない』って言われりゃ結婚するし、『子供のいない人には分からない』って言われたら子供作ってまうし。無茶苦茶やろ? はい、やって」
「う~ん…。まぁ、俺に言われたくないだろうと思うけど、浅はかかなぁ。父ちゃんの影も薄いし、どれもこれも、二人の承認なしでは得られないもんだよな? 父ちゃんは、子供作るのに賛成だったんだ?」
「さぁ、どうやろ? まぁでも、さすがにエッチはできひんから、不妊治療の名目で体外受精したみたいやで」
「はぁ…夫婦って言っても、色々あんだな」
「まぁ、少数派やけど」
「…うん」
「できた?」
「ん」
遊命がプリントを差し出した。
「こんな早よ出来るってことは、殆ど書いてないやろ?」
「うん」
プリントを見て、可児は深い溜め息をついた。
「…ホンマに中学レベルも怪しいな。どうする? 俺に教わる気ある?」
「うん。教えてくれるんだろ? 今まで人から教えてもらったことないからさ」
「全く?」
「うん」
「おとんとか、おかんも?」
「うん」
可児が呆気にとられる。
「…よう、高校に入れたな…」
「本当、本当」
「自分で言うなや」
ポンと軽くツッコミを入れる。
「分かった。こうなったら、徹底的に教えたる」
「よろ~」
「『よろしくお願いします』やっ!」
今度は強く頭を叩いて突っ込んだ。
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