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夏の章三 夏ぐれ
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可児は無言のままリビングに入り、荒々しく音をたててソファに腰掛けた。
遊命もその後を、無言で追った。
「何でついてきたん?」
「……」
何で、と言われても遊命には返す言葉がなかった。
暗い闇のような瞳。なのに鋭い。
不安を打ち消す言葉は言い尽くした。
…が、可児には届かなかった。
「…服、脱いで」
「ここですんの?」
可児の返事はない。
Τシャツを脱ぎかけた遊命の腕を掴み、強引にソファへと押し倒した。
「…っ!」
遊命が言葉を発する間もなく、可児は遊命の身体をに覆い被さり、頭を抱え込むようにして唇を重ねた。熱い舌で、遊命の口内を乱暴にまさぐる。
「…ん、…ふっ…」
こんな扱いは、ただの一度もない。
可児の息は既に上がっているのに、瞳は闇のままだ。
押さえつけられても、遊命に抵抗の意思はなかった。
恐怖よりは、ただ苦しい。可児を思うと苦しい。
もがき苦しむ可児を見ているのは苦しい。
そんな自暴自棄になって憂さ晴らししても、傷つくのは可児なのに──。
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