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夏の章三 夏ぐれ
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「あんなぁ、早生」
「何や」
「結果的に陰性やったけど、おまえが陽性でも陰性でも大した問題とちゃうねん。仮に陽性やったとしても、可児早生に変わりはないし、俺の息子や」
「はぁ? それが一番の問題とちゃうんか?」
「何?」
身体の中でとぐろを巻いていた暗くて、熱い塊が、蠢きだす。頭に血が昇る。
言ってしまいそうになる。怒りに任せて、吐き出してしまいそうになる。
──お前が父親なのが、問題やろ!
「………お、」
「ちょ、ちょ、ちょいちょい、お二人さん、論点がずれてんで。今は親子喧嘩してる場合とちゃうやろ?」
空気を察した日出子が、止めに入った。
「本当に申し訳ありません。全て俺の責任です」
「そんなん分かってるわ。おとん、こんな迷惑な奴とは別れろよ」
「早生、別れる別れんは二人の問題や。あんたが口出しすることとちゃうねんで。それと長谷川さんを責めても、何も解決せぇへんよ。あんたが事実を受け入れて、先進まんと」
「可児」
暫く黙って聞いていた遊命が、口を開いた。
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