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夏の章三 夏ぐれ
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「あいつ、法曹界では人権派の弁護士で通ってるけど、何が何が。息子の人権すら認めんクソや!」
当時のことを思い出したのか、暢宏の顔が険しくなった。
父親のことを、吐き捨てるようにして扱き下ろす暢宏を見て、長谷川の胸がツキンと痛む。
険しい表情の中に、隠されている傷ついた心。
傷心の表情をした人物が、もう一人。
「……そんなんで、結婚して俺、産んだん?」
「そぉや」
「じじぃに抵抗するために?」
「そぉや。そういう形の夫婦がいてもえぇやろ?」
「クライアントに言われたんやなくて?」
「クライアント? うち、そんなん言うたか?」
「言うたやん」
矢継ぎ早に質問をする早生。明らかに動揺していた。
「日出子…、おまえ子供になんちゅう説明してんねん」
暢宏が呆れた顔で呟いた。
「いやぁ、全く覚えてへんけど、多分あれやな、そう言っといた方が下手な確執生まんでえぇ思ったんやろな。これは暢さんとお義父さんの問題で、早生には関係あらへんし」
「……関係あらへんことあるか。そいつのせいで、もう充分巻き込まれてるやん、俺」
可児が顎をしゃくりあげて長谷川を指した。
「……」
長谷川は無言で萎縮した。
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