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夏の章三 夏ぐれ
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「ホンマ、ホンマ。今までちゃんと教えてくれる人がおらんかったから分からんだけで、ちゃんと教えたら大丈夫や。読解力も応用力もあるし」
「ほんとに?」
「うん」
「へへ……」
「へへ?」
可児は頭を起こし、不可解な言動をする遊命を見上げると、少しはにかんだように微笑んでいた。
「ん……ちょっとだけ嬉しい」
「ここでさぼらなな。後は遊命の努力次第や」
「……ん」
遊命は腕を可児の頭へ伸ばすと、後頭部を鷲掴みにし、自らの顔を寄せて唇を重ねた。
「何? 盛ってんの?」
と、可児。
「違うよ。さっきのキスの意味が分かったんだ」
「……意味?」
「うん。無意識にさ、したくなっちゃうんだよな」
穏やかに笑いながら、可児の髪で遊ぶ遊命に、可児は目を細めて微笑み返した。
昨日の騒ぎが、嘘みたいな穏やかな一時。
何を言っても許されるような、温かい気持ちが溢れだす。
「好きや」
「ん?」
「言いたいことが、よけありすぎて巧く纏まらへん。何や、全部ひっくるめて、好きや」
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