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小さな訪問者
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大きくて重い扉がゆっくりと開き、冷気が店内に滑り込んでくる。
「すみません…まだオープンしてな…」
扉がしまる、カランコロンという音と同時に、私は店内にいるその人に目をとられた。
「あの、ちょっと…君…!」
琥珀色で、ふわふわのカールがかかった髪。大粒で今にもこぼれそうな瞳。赤く染まった頬と、潤んだ唇。
小学生くらいの子供だ。
体も華奢で顔立ちもまるで女の子だが、男の子だ。
しかし、おかしい。
服を、着ていない。
「君っ、…どうしたの!…大丈夫かい!?」
カウンターから飛び出し慌てて彼に近づくと、凄い勢いで腰に抱きつかれた。
細い体は小刻みに震え、氷のように冷たい。私は、近くにあった膝掛けを彼の肩に羽織らせた。
「お母さんとお父さん…いないのっ…」
今にも消え入りそうなほどか細い声で、彼はそう言った。
「迷子…?…まあ、詳しい話は後で聞こう…、今はその体を温める方が優先だ…」
抱き上げると、彼は驚くほど軽い。
確かに小さな子供だけれど、これは軽すぎるのではないだろうか。
病的な軽さ、そう言っても過言ではない。
それに、抱き上げた瞬間からずっと、彼はまるですがるように私にしがみつき、すすり泣いているのだ。
「大丈夫かい…」
私は、彼を宥めようと優しく背中を撫でた。
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