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クロ、泣かないで?僕はここにいる。
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ウェルコット・スミスが亡くなった後、野獣のクロノアは毎日辛い夢ばかりを見ていました。
亡くなった次の日の夢はスミスの事を初めて好きになったお花畑。クロノアに取っては今じゃとても辛い思い出話でした。その辛い夢を見て起きる度にクロノアは泣いていました。
「スミス......はもう......いない...んだ......。」
と泣きながらボソッといつも呟いているのです...。
だけどスミスはずっとクロノアの傍にいたのです。
そう、スミスは幽霊となってクロノアの傍にいたのでした。
スミス「......クロ...元気ないな...。僕が死んじゃったのが悪いんだけどね......クロは悪くないよ...親に従っただけ...」(ニコ)
勿論この声はクロノアには届きません──。
それでもスミスは毎日毎日話しかけながら傍にいたのです。
クロノア「...家......行かないと...。」
「...今日も行ってくれるんだね...優しいね、クロ」(ニコ)
「...。スミスの幽霊とかでも良いから現れてくれないかな...。もう1度スミスに謝りたい...。謝って済むことじゃないけど...」
「...。クロ...クロが分からなくても...僕はここにいるんだよ...君のすぐ傍に...」(ニコ)
「はぁ...スミス.....。愛しくくてやまないスミス....。」
「...喋りたいよね...クロ...。僕今物凄く寂しいよ...。クロにちゃんと見えて抱き着きたい...クロとちゃんとキスもしたい...クロと......ご飯食べたい......。僕...今それね...1人でしてるんだ...。何をするにも全部1人...でもねクロといるから何とか出来てるんだ...。僕が出来てもクロには出来ないんだよね...ごめん...」
「....スミス...近くにいるのかな....。近くにいるなら言いたい事があったのに......。」
「...言いたい......事......って......何だろ.........一時的なら......すぐ消えちゃうけど姿現せられるかも...っクロより先に家行かなきゃっ」
クロノアより先に行ったスミスは一時的に姿を現せるようにし、すぐ消えてしまうけどクロの「言いたい事」と言うのがどうしても気になったスミスはそこで一時的に現われる事を選んだのです。
ガチャ..《ドアを開ける音》
スミス「...クロ...っお帰り」(ニコ)
クロノア「.........え...?...ス...ミス...?どうして......」
「一時的だけど来てみたの...。」
「...っ!すぐ消えるって事...?!やだよそんなの...!スミスともっといたい...っ」
「っ...僕もいたいよ...でもね...クロ...消えちゃうの..。僕はいなくなるの...ごめんなさいクロ...。僕が死ななければクロと...一緒に住むこと出来たのに...死んじゃってごめんなさい...。クロを一人にしてごめんなさい...辛い思いさせてごめん...なさい...。」
スミスは涙を流しながらクロを一人にさせてしまったことを後悔しました。
「...?何言ってるのスミス。何でスミスが謝るの...?やったのは俺じゃないか...。スミスは何もしてないじゃない...。俺があの時喰わなかったら.........何も無かったんだ...。何も...ごめんなさい...スミス。スミスを今でも凄く愛してる...。俺ね、スミスがいなくなって野獣化全然してないの...偉い...?スミス...」
「...それが言いたい事...?ふふっ......偉いね...でもご飯はどうしてるの...?傍にいたけど少しずつ帰ってたから見てなかった...。」
「...。見てたの...?(ニコ)人間の料理を覚えて作っているよ...。俺スミスがいないとやっていけなかったから...」
「.........そ...なんだ...偉いよクロぉ...。」
ギュゥ《スミスはそっと抱きしめた》
「スミス...。喰ってごめんなさい。憎んでもいいから...。」
「...。どうして愛してる人を憎まなきゃいけないの...?クロって何か悪い事した?」(ニコ)
「...っ...スミスは優しすぎる...。ル、ルーカスって言う人だって優しすぎるって言ってた。」
「クロ...。僕ね、クロの為なら何だってできるよ」(ニコ)
「...スミス......。後一つ言いたい事が......」
「...ク、クロ......。もう消えちゃうから......早く...」(ニコ)
「...えっ...やっ...やだっ..離れちゃ嫌だ俺...。」
「...ふふっ...僕も離れたくないよぉ......クロとずっといたい......」
するとスミスの体は足から徐々に消えていきました
「...ス、スミス...ぅっ!!待って消えないでっ」
クロノアは今までに無いくらいに泣きじゃくりました。
スミスは泣いていても決して笑顔を忘れる事はありませんでした。スミスはクロノアの目の前では泣いたりしない。と自分に誓ったからなのです。
「...クロ......ごめんなさい...。もう消えちゃう...。言いたい事聞けなかった......。ごめんなさい...クロ......」
ギュウウゥ...ッ《強く抱き締めた》
「...っ...?クロ......?」(ニコ..)
「...。嫌だ......離れたくない......嫌だ......」
「...ごめんなさい......。クロ......愛してるよ...」(ニコ)
そう言うとスミスは完全に消えてしまったのです。
「.........。うっ......ぐ.........スミス.........に......言え...なかった...っ......。俺が言う言葉だったのに......スミスに言われちゃった...。情けないな......。スミスに色々貰ってばかりだ...。本当に情けない......。ごめんスミス...愛してる...。って...今言っても遅いな.....。」(クスッ)
「...またね、スミス。また来るから」
パタン...
「スミスが来たことも夢なのかな...。夢だったら悲しい。......でも、『愛してる』の言葉さえ言えなかった。情けないな...。」
クロノアは帰ってすぐに寝てしまいました。
またスミスの夢を見てしまうかも。と感じていたのか既に泣きながら寝ていたのです。
スミス「...もぅ...また泣いちゃって...クロは弱虫さん...?僕...笑ったり泣いたりクロの近くに寄り添う事しか出来ないのかな...。」(ニコ)
「...スミ...ス....こっちへ..きて...お願...い..離れ...ないで...近くに...いて...」
「...またどんな夢を見てるんだろう...。辛そう...。ごめんなさい、クロ。僕が死ななければクロは辛くなくて済んだ...。ごめんね...。クロの事孤独にさせちゃってごめんね...。クロ愛してるからね...」
スミスはスッ...と消えていきました。
─クロノアの夢の中─
スミス「ク〜ロっ...。遊ぼう...」
クロノア「...うん...。遊びたいけど...どうしてそんなに遠いの...?スミス...。」
「え...?クロが離れて行ってるんじゃない...。だから遊ぼうって言ったんだよ...」(ニコ)
「...そんな......スミスが遠いよ...。こっちに来て...スミス...。お願い...離れないで。」
「...どうして...?僕はクロの方へ歩いてるつもりだよ...?クロは来ないの...?」
するともう一体のクロノアが現れ背後からスミスを前と同じ様に噛みちぎり、スミスは消えてしまったのです
「...っ...!スミス...っ...い...嫌だ...嫌だ...っ...!!スミスが...っ..また...っ!」
そう言いながらクロノアは泣きじゃくりました。
「...はっ...」パチッ《目を開けた》
丁度クロノアはそこで目が覚めました。
クロノアはまた残酷な夢を見たせいで夢から覚めても泣きじゃくるばかりでした。
それでもクロノアが泣いてるとクロノアには見えていないウェルコット・スミスが背後から支える様に抱きしめていました。
スミスがいなくても2人は愛し合ったままなのです。
クロノアという野獣はスミスというとても優しすぎる人間に愛されなかったらきっと絆は生まれていなかったでしょう──。
─END─
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