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2.ジノエドの場合
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「おい、お前また俺の本取っただろ」
もう何度目だろうか。
目の前で眉をしかめた可愛い可愛い相手の声を、聞こえていないフリをして早15秒。
早足で俺へと歩み寄った時は、穏やかではないその気迫に、まぁこうなるだろうな、とはわかってはいた。
苛立ちからか、先ほどからリズム打つ足元がだんだんと早くなっている。それは、同時に焦りも表しているのが伝わってきていて
顔だけじゃなくて、行動にも表情をだす相手がやっぱり可愛らしい。
「おい、ジノ」
俺とエド、後は誰もいないリビングに
一方的な声と足音が響いていた
「おいジノッ!!!!!」
「知らないねぇ」
読んでいる新聞から目を外すことなく、答える。
陽気な表情を浮かべてやると、また相手の表情は苛立ちをおびた。
「知らない訳ねぇだろ!俺の部屋からああいう本が無くなるのは大体……ってか、全部お前のせいなんだよ今まで!」
「ああいう本…?
俺はああいう本なんて見覚え無いなぁ、それよりお子様はもう寝る時間だぜ?
エドちゃん」
他の住民がいないわけだ
時刻はとっくに夜を超えていた。
1時間ほど前までは、数人で酒を飲みながらに、他愛もない話やじゃれ合う仲間を眺めていたのだが、誰かが席を立つと同時におひらきに。
ただ1人寂しくリビングに残されていた
そんな俺もそろそろ寝ようかと思った時にだ
「ああいう"類い"の本だよ!わかるだろ!お前なぁ…、お前のせいで寝れねぇんだよ。ってか、そもそも俺お子様じゃねぇから!」
眠れなくなったのか可愛い可愛いエドちゃんが来た。
わざと誤魔化して言うところなんかが
本当に中学生の男子みたいで、ついからかってやりたくなる。
「あぁ」
閃いたように口を開いて、ようやくわかったように、ああいう"類い"の本を出した。
「エドちゃんはエロ本が無いと寝れないと。うんうん、思春期なら仕方ないな」
「やっぱお前持ってんじゃねぇか!!!返せ!!それに、いい加減ガキ扱いするな」
「えーっと…超爆乳!新人教師のヒミツの放課後レッスン゛ッっ…!」
くすねた本のタイトルを読もうとしたところで物理的に止められる。
少しいたずらが過ぎたか、まだ中身は見れていないのに。
「ってぇ…殴るこたねぇじゃねぇか、エドちゃん」
「うるせぇ、ふざけんなよ!他のやつに聞かれたらどうすんだよ!!」
手に持っていたはずの本も取り返されていて
「その声の方が絶対聞こえてるぞ」なんてこぼせば、笑いながらに、流石の早業だなとその目を細めた。
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