アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
犬になれ
-
「み〜ちゃったぁ〜」
俺の目の前に座り込んでいる間抜けな顔をした1つ上の先輩。
「あ〜ぁ、せっかくのイケメンが台無しな顔してますよ〜?」
「お、ま…、な、え?は?」
「ははっ、緑桃(リョクトウ)学園が誇る風紀いいんちょーともあろう人がなっさけないですねぇ〜?」
彼はこの学園の全生徒から羨望を集める風紀委員長。
俺のタレ目とは正反対なツリ目。
俺みたいな染めすぎて傷んだ金髪じゃなくて日本人らしい黒髪。
もちろん俺みたいに三つ編みで緩く1つにまとめて右肩から前に流したりはしていない。
俺の胸まである髪と違って耳は隠れるけれど長すぎないくらいに切り揃えられている。
前髪だって長すぎず、眉がちらちらと隠れるくらいの長さ。
俺は目にかかって鬱陶しいくらいに伸ばして右に流してる。
俺が着崩している制服はきちっとお手本通りに着こなしているし、だらけている俺と違っていつも背筋を伸ばした姿勢を崩さない。
いつも笑みを浮かべるように意識している俺と違うキリリと無表情な男前。
たまに浮かべるらしい笑みを見たことがある人は本当にいるのかすら怪しいという。
あ、親衛隊がある程顔の偏差値も高くて学園内での地位もある、ってとこは一緒かな。
身長もあんまり変わらないかも。
たぶん俺の方が高いけどそれも数センチの差。
体格は委員長の方が男らしいかな。
って言っても筋肉がつきすぎてるわけでもなく細マッチョってやつ。
そんな委員長には恋人もいなければセフレもいないらしく、浮ついた噂の1つも聞きやしない。
そんな清廉潔白な風紀委員長は、生徒会長と親衛隊の規模が匹敵している校内の人気者だ。
その彼が目の前で、座り込んだままズボンの前を広げて中に手を突っ込んでいるんだからなんとも笑えるよ。
それも風紀委員室の扉を開けた真正面の奥に位置する、いつも彼が使っている風紀委員長用の机の前で。
「とりあえず、ちゃんとズボンを履き直したらどうです〜?」
弾かれたようにズボンを履き直してベルトを締める委員長が間抜けで間抜けで……、かわいい。
顔立ちも性格もどこからどう誰が見ても男前なのに。
「お、お前は、生徒会会計の…?」
「2年A組、獅堂綾人(シドウ アヤト)で〜す」
「……俺は3年A組の青城誠一郎(アオシロ セイイチロウ)だ」
「知ってま〜す」
「……お前だろう?来るもの拒まず去るもの追わずで誰彼構わず…、それこそ親衛隊にまで手を出すヤリチン野郎は」
この涼しい顔のイケメンにヤリチンなんてセリフは似合わないなぁ…。
ま、今はその涼しい顔も剥がれちゃってるんだけどね。
「え〜、人聞きの悪い。俺はみんなの恋心を満たしてあげてるだけですよ〜?それに、ぜ〜んぶ向こうからなんで!いいんちょーに何か言われる義理はないで〜す」
「……別に、両者の合意があることは知っている。文句を言うつもりも注意を呼びかけるつもりもない」
「…そんなことよりわかってます〜?いいんちょー」
「な、なにがだ」
「いいんちょーがこの学園でこれから先もいいんちょーでいられるかは〜、俺次第なんですよ〜?」
「っ…!あれはっ、違っ…」
それだけ言って俯く委員長。
違う、ねぇ?
「あ、そうだ!安心してくださいね〜?ちゃぁんと動画、撮ってますから〜」
そう言ってスマホを見せると愕然とした顔をする。
「もう寮にある俺のパソコンにも送ったので〜。今奪おうとしても無駄ですからね〜?」
「か、金か?」
「お金に困ってるように見えます〜?」
「なにをすれば…」
「ふふっ、いいんちょーは今日から俺の犬ですから〜。いいですよね〜?」
「っ…!そうしたらその動画……消すんだよな?」
「はい、いいんちょーがちゃんと従順な犬になって満足したら消しますよ〜」
ま、いつ満足するかは保証できないんだけど。
「ていうか〜ぁ…。なんでまだ勃ってるんです〜?」
委員長は俺に脅されてもなお勃っていた。
これは…薬でも盛られた感じかな?
「ぁ、ゃ、違…」
「知らなかったな〜ぁ、いいんちょーが見られて脅されて興奮できるドMだってこと〜」
そう言って嘲笑うと、彼は泣き出しそうな顔をして唇を噛み締めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 5