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春、出会い
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「ほら、さっさと並んで」
祐樹が担任を受け持つ二年A組は、中学生なだけあって賑やか。いや、うるさい。女の子だけなんだから、もっとお上品にしてくれてもいいのに。いや、むしろこんなにうるさいのは女の子だけだからか?
「廊下で騒ぐな、水族館のイルカでももっと綺麗に整列できるぞ」
呟く程度のつもりだったが、しっかり聞こえていたらしく、先頭の生徒に「先生、口が悪いから彼女できないんだよー?」と言われた。マセガキ、俺がいつ彼女いないって言った。いや、いないけども……。
「先生って見た目は良いのにねー。目、大きいし。髪ふわふわだし。アイドルって言われても信じるかもってお母さん言ってたよ」
一生徒の母親の感想なんて知るか。でも褒められて嫌な気はしない。アイドルは言い過ぎだが。
チャイムが鳴る5分程前になればそれなりに綺麗に整列して歩きだす。最初からやれ、アホども。
三階奥の教室から一階の講堂まではそこそこの距離がある。階段の踊り場を通るたび、設置してある鏡に映る自分と目が合って苦笑した。まさかコンプレックスである癖毛を褒められる日が来るとは。今はこっちが教師だが、昔はよく校則違反だと怒られた。パーマもカラーもあててねえよ。自前だ。生活指導の先生の目、腐ってたんじゃないかな。
講堂に着き、一応クラス全員が椅子に座った。既に講堂に来ていたクラスの生徒の話し声、今入ってくるクラスの足音。講堂は騒がしい。
一足先に自分のクラスを落ち着かせたらしい黒田が後ろの方に座っているのが見えた。すぐに目が合い、手招きされる。仕方ない、一人ぼっちの寂しい先輩のところに行ってやるか。
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