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春、集い
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田口が料理と酒を適当に注文し、黒田と瀬戸がお互いにいくつか質問し合い、そのうち運ばれてきた酒や料理を四人で飲み、食べた。目に見えて早いペースで飲んでいる訳ではないのに、黒田はいつもすぐに酔う。酒に弱いのだろう。今もからみ酒ですぐ横の田口を困らせていたところだった。
飲んでるか?と話を振られて、鬱陶しいながらもほっとした。正直、いくら田口が黒田をなだめながら話に入ってきてくれるとは言え、初対面の完璧超人との会話にはものすごい緊張を強いられている。
「飲んでますよ、黒田さんみたいにすぐアホみたいに酔っ払う訳じゃないだけですー」
隣の完璧超人がクスクスと笑った。あ、冗談だと思ったのか。本音なんだけどな。
笑うな、という意味を込めてさりげなく睨むと、あろうことか気が付かれてしまった。
「睨まないでよ。先輩と仲良いって言ってもここまでフランクなの初めてだから、なんかいいなって思っただけだから」
なんだこいつ。それ裏を返せば失礼な後輩ってことじゃねえ?
気に入らないのはそれだけじゃない。
「瀬戸さーん、そいつのはフランクとかそんな可愛いもんじゃないんすよ〜。先輩を人とも思ってねえの。酷くないっすかあ?」
「いやいや、黒田さんが大らかな方だから後輩も伸び伸び出来るんじゃないですかね」
これこれ。なんでこいつ俺にだけ敬語使わねーの?初対面だよね?年齢の話とかになってねーし、だから当然「タメで話そーね♡」とかいう話の流れにもなってないし。ん?
そこでふと祐樹はあることが気になった。え、こいつ何歳?大学で教えてるとか、なんたらの開発に関わったとか紹介されてたし、俺と変わらなさそうに見えて実はすっごいジジイなのか?
気になりはじめたらもうどうしようもなくて、考えるより先に尋ねていた。
「あの、瀬戸さんおいくつなんですか?」
「何歳くらいに見える?」
「50歳」
祐樹の予想に田口が豪快に笑った。
「それじゃ、俺と変わらないじゃないか」
「俺と同じくらいじゃないっすかあ?俺、29なんすけど!」
黒田の奴、無難な予想しやがって。
瀬戸の方を見ると、少し驚いたような表情をしていた。確かに黒田は言動が子供っぽいから実年齢より若く見られがちだしな。
心の中でそう呟く。そのとき、瀬戸が正解を口にした。
「え、じゃあ黒田さん年上なんですね。俺、26なんです」
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