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春、ほろ酔い
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歩き出すと、酔って火照っていた顔に夜風が当たって気持ちが良かった。
先程までの自分の態度の悪さには自覚があるのでもっと気まずくなるかと思ったが、お互い少し酔っていることもあり、ふわふわとした会話がスムーズに進んだ。
「東さん、何年生教えてんの」
「中学二年生ですけど」
「可愛いでしょ。俺、中学の頃のこととか思い出せないなあ。何してたっけ」
昼間ステージ上にいた瀬戸の、カチッとスーツを着こなした姿からは想像もできないほど柔らかな口調で、彼はよく喋った。
少し歩けば酔いは冷めるかと思ったが、駅に近付くほどに頭はぼーっとし、頬のあたりも少し熱を持ち始めた気がした。
「完璧超人が中二のガキだった頃なんて、こっちも想像できませんよー」
あれ?口が上手く回らん、てかアホの子のような喋り方になってねえか。飲み過ぎたかな。
「完璧超人って。東さん、かなり酔ってるでしょ。もうすぐ駅付くけど、少し駅の周り歩こうか?このまま電車乗れる?」
苦笑した瀬戸が、不安そうに顔を覗き込んでくる。だから、それ、やめろ。
「いや、すぐ、かえります」
そう答えると、瀬戸の表情が少し曇った。
「やっぱ俺、気に触ることしたよね。怒ってるだろ」
あー、おこってないおこってない。ひがいもーそー。ああ、でもさっきまで怒ってたかも。怒るってか、イライラ?しらねー、わすれた。
そんな思いとは裏腹に。
「そりゃおこりますよー、あんな……」
ん?何言ってんの、自分。
あ。
なんかやばいかも。
「あんな、おれのことガキあつかいしてー、ほかのひとには、けーごではなして!…たしかにおれ、とししただけどー」
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