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春、お見舞い
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ビニール袋から野菜やら肉やらを取り出す瀬戸の手元を眺めて突っ立っていると、
「座ってて、まだ熱あるだろ。顔赤いけど」
「あ、いや。手伝おうかと思って…」
「病人は休んでて。あ。手、洗わせてもらえる?」
瀬戸を洗面所に案内し、祐樹は部屋に戻った。
ソファに腰掛け、両頬に手を当ててみると、少しだけ熱かった。
瀬戸は熱のせいで赤くなってると思ったんだろーな。いや、確かに熱はまだある感じだけど…。
祐樹はソファの前の膝の高さくらいのテーブルに置いてあった体温計を手に取り、熱をはかってみることにした。
そっとソファの背にもたれかかる。ふう、と一つ息を吐くとだいぶ落ち着いた。
瀬戸が家に来た。野菜を届けてくれて、今は祐樹のために料理をしてくれている。
なーんか、イケメンを独り占めしてる感じで気分いいな。
突然後ろで扉が開かれ、台所から瀬戸が顔を見せた。
「調味料とか、使って大丈夫だよな?あと、食器とかもどれ使っても平気?」
「へ、平気平気。なんでも使って!」
いきなり声をかけられて驚いてしまい、少々声が裏返ってしまった。
恥ずかしい…。
というか、瀬戸と出会ってからの自分はいつも慌てていたり赤面していたりドキドキしていたり…。やはり、見栄えのする人間と過ごすのは緊張するということか。
一人悶々としているとピピピ、と音がした。体温計だ。
顔の前まで持ってきて確かめると、微熱がある程度の温度だった。
…やっぱ熱のせいで顔赤いんじゃない……。だとしたら、なんで…。
……恋?
なんてな。
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