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コンテストは夜までやっているから一旦退出して出直してきてもいい。
パッとしない気分のまま教会の門を出るとそのままあてもなく駅に向かって歩いた。
(あ、そうだ)
駅へ向かいかけた足を止めたところにタイミングよく通りかかったタクシーを捕まえて、敬典の家の住所を告げる。
歩いてもそう大した距離ではないので5分もしないうちにタクシーはマンションに辿り着いた。
もう何回も訪れた部屋の前に立っていつものようにチャイムを鳴らすとすぐにドアが開いた。
「何だ居たんだ」
ホッとして思わず顔が綻びそうになるのを抑えてあえて素っ気なく言ってみる。
「何だって何ですか」
敬典は屈託なく笑うと倫祢を部屋に上げてくれた。
「今日はどうしました?」
「用がないと来ちゃ駄目なのか」
「いや、そんな事はないですけど」
敬典の部屋にはコーヒーのいい香りが漂っていて、香りの出所を探すと棚の上のコーヒーメーカーに置かれたデカンタが湯気を立てている。
「飲みますか?」
「飲む」
1分もしないうちに、手際よく淹れられたコーヒーが倫祢の目の前に置かれた。
(マメなやつだな)
カップの向こう側にはチョコレートが一粒添えられている。
チョコレートを口の中で転がしていると、イースターエッグの飾られたバスケットが目に入って今日ここに来た目的を思い出した。
「なぁ、敬典の卵って何番?」
教会からそのまま持ってきた投票用紙と鉛筆をカバンから取り出した。
「内緒です」
「えーっ!? だって今年こそは優勝を狙うんだろ? だったら1票でも多い方が勝ちに近づけるんじゃないの?」
「いいんです、倫祢さんが一番好きな卵に投票してください」
敬典はそう言うが、わざわざここまで来たんだから手ぶらでは帰れない。
「俺が見た感じだと、あの中だったら多分3番か28番が敬典のやつだと思うんだけどなー」
「さあ、どうでしょう?」
敬典がコーヒーのおかわりを淹れに立って行くと途端に手持ち無沙汰になる。
テーブルの下に据えられているマガジンラックの中を見るともなしに眺めていると妙なものが目に入った。
(何だこれ?)
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