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逃走
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【カイside】
借金を抱えてから既に一ヶ月はたっただろうか。
家の扉を激しく叩く音で目が覚める。時計の針はちょうど午前3時を示している。外はしとしとと雨が降っていた。
__借金の取り立てに来たんだ。と直感的に感じる。
感じた通り、激しく叩く音と共に「月城さーん」と呼ぶ声が聞こえる。
声からして複数人の男が家の前にいることがわかる。
こんな夜中に来るとは迷惑極まりないがそんな事を考えてる暇は無い。
出てしまったら自分はどうなるだろう。
__自分の中身を引きずり出され売られた後、残りはコンクリートに詰めて捨てるのだろうか。
嫌な想像をしてしまい吐き気がした。
そんな事をしている間も声と音は止まず、むしろ更に激しくなっている気がする。
__まずい。本当にこれはまずい。
足りない頭で考えることは一つしかなかった。
____逃げるしかない。
最低限の荷物をバックに入れ、着替えると靴を持って家の裏口に向かった。
静かに、静かに。最大限の注意を払いながら慎重に裏口の扉を開ける。
しかしこの古びた扉は僕のことを残酷に裏切る。
ギィィと扉が開いたとしか思えない音が響いた。玄関の前にいた男達の視線が動くのを感じると、僕は飛び跳ねるように走り出した。
背中の方で「待て!」や「逃がすな!」といった怒鳴り声が聞こえる。
__とにかく逃げなければ。その一心で雨が降る街を駆け抜けていく。
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