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春風がそよぐ季節も終わりを迎え、
緑の葉が出てくるようになりました。
日が昇れば少し汗ばむくらいの気温です。
アーグレットが付いてから、数日。
あの手術を終えたリンはまるで別人のように変化していました。
「…………」
何をするでもなく、
ただ窓の外を、焦点も合わせずに見るのです。
あんなに愛した王の姿を見ても、
シェニリアとの仲睦まじい様子を見ても、
ぼうっと、ただどこか遠くを見ているようでした。
彼らの存在に気づいてないかのように。
アーグレットが塔の階段を上って食事を持ってきました。
「おい、魔女。食え」
どか、と椅子に座ったアーグレットはリンを睨みつけて言います。
「…」
そろ、と顔を上げたリンは
骨と皮しかないような細い指でスプーンを持ち上げました。
「……いた、だきます、」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「も、たべれな……いです……」
「ああ?」
口にした昼食の量はどのくらいでしょうか。
ほんの2、3口含んだ程度でしょうか。
「ごめん、なさい」
「毎日毎日毎日!
食べもしない奴に、食べる資格すらない奴に!
なぜ食事を出す必要があるのだ!」
アーグレットは、
リンという死に損ないに食事を提供するだけでも怒りが溢れるのです。
怒りが収まらないときは
ガッ!
リンの頬を殴りました。
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