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そのころ、西洋の魔女だと嫌われている前妃リンは…
(王様……)
あたたかな光は一切届かず、ろうそくの明かりだけしかない地下の牢獄で、1人声も出せず拷問を受けていました。
恐怖と悲しさ、悲しさ……痛み、痛み。
拷問から解放されたリンは、配られるカビたパンをもらうまで誰にも見られないように泣きました。
真っ暗な牢獄は、石岩を積み上げてできているため反響しやすく、ほかの罪人たちの悲鳴がずっと途切れることなく聞こえる特徴があります。
やめてくれ、と。
わたしがわるかったのだ、と。いたい、いたい……
言葉にならない言葉が……リンの耳に届きます。
(泣いてる……)
そして一緒に、誰かわからない悲鳴と共に涙を流すのです。
「ごめんなさい」
一心に謝る姿は、牢獄の番人からしたらただ拷問を受けたくない、罪人らしい態度だと思うでしょう。
それが当たり前です。
許しを請う態度がみな一様だから。
「ごめんなさい、ごめんなさい王様っひぅ……っぐ、シェニリア様、ごめんなさい、、っうぅぅっふっ……」
水も食料もあまり与えられていないというのに、涙が止まりません。
「自分っ…自分の幸せのために、……ひっ…う、ぅぅ…あなたを…、あなたの愛しい、人を、悲しませて……、、っ、ごめんなさい」
《お前の本当の目的を言え!なぜ王を欺いた?!》
いつも聞かれる拷問の質問。
「ごめんなさ…っ!!!ひぅ…っ、」
謝ることしかしないリンに鞭が降りおろされ、
小さな背中に真っ赤な線をいくつも作りました。
(自分では背中がどうなっているのか分からない、たぶん真っ赤なのだと思う)
何日も何日も続くと、リンは口を開けることさえ不可能になってきました。
そうなると、これはまずい、刑をかける前に死ぬ、そう思って慌てる人がいます。
それは番人たち。それからというもの最近の拷問回数はグッと減りました。
(おじいちゃん、私を育ててくれたのに、、迷惑ばかりかけて、、わがままばっかりな私のせいで…ごめんなさい)
(私なんて、、、幸せになってはいけないのに、わかっているのに、)
(早く私は死なないと)
(どうか、王様と王妃様が幸せになりますように)
(ごめんなさい)
(私がいなくなって、悲しむ人は…)
自分の少し先の未来は大抵わかるものです。このまま刑を受けて息をひきとる、と…
(おじいちゃん………)
(…王様)
唯一の家族と、唯一愛した人。
ぐるぐると頭の中で混乱しています。
(私なんて早く死ねばいいのに)
(誰かのために何かしたいのに…)
(無理よ。……嫌われ者の私が何か人の役に立つなんて……でも)
(でも)
(っ……ぁ、あああああ!!!)
(おじいちゃんごめんなさいごめんなさい、私のせいで悪く言われないで、ごめんなさい)
(王様が望むなら……なんだって……)
(でも)
(でも)
(でも)
(死ぬのが怖い……っ、ぁああ、)
(だれか……っ、、、)
(助けて…………)
「っぁ、」
そうしてまた自分が助かろうとすることしか思いつかない己の欲深かさにまた気持ち悪くなって泣くのです。
ほっそりとした色白な手首はぽたり、と意識と共に石床に落ちていきました。
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