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早朝、鳥が囀り陽が昇る頃、一人の少年がヒカゲ街の路地を歩いていた。
「はぁ…どいつもこいつも雑魚ばっか…」
そう呟く少年の手には、まだ付着したばかりだと思われる深紅の血が滴る、20センチ程度のナイフが握られていた。
彼の名は相坂李斗。この殺人鬼の街と呼ばれるヒカゲ街の住人の一人である。
このヒカゲ街は、二つ名の通り殺人鬼が収容されている街だ。
この街に収容される殺人鬼の条件はただ一つ。
殺しに対して依存しているかどうか、ただそれだけ。
なぜその者達が死刑判決を下されなく、刑務所にも収監されなく、このような町でのらりくらりと生きていけるのか…理由を知っているのはこの国には数名しか居ないのだが、今はそれを知ってもどうしようもないだろう。
ともかく、このまだ20代にも満たない少年李斗も、殺しに依存している異常者のうちの一人なのだ。
「…さて、これからどうやってバレずに戻るか…」
李斗は、そう呟きながら目の前にある008と大きく書かれたボロいアパートを見上げた。
ここは李斗が住むことを定められた殺人者用のアパートである。
殺人者は本当は夜10時の点呼から朝7時の点呼までここを出てはいけない規則が存在する。
しかし李斗はその規則を破り、昨晩からずっと外出していたのだ。
「とりあえず、アイツはまだ来ない時間だから、入口の監視員をどうにかすれば………」
そう呟きながら、持っているナイフの血を拭き取り懐にしまおうとする。
すると、背後から李斗が聞き覚えのある、今このタイミングでは聞きたくなかったであろう声が聞こえた。
「よお、李斗。また約束破りで朝帰りかぁ?」
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