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「あー。いい天気だなー。」
「だねー。」
「もうすぐ夏だよ、夏。」
「うーん、だね。」
「いや、そこはもっと
テンション上げて来いよ!」
「夏ってテンション上がるもんなの?」
「何言っちゃってんの!
あがるだろ!
楽しい季節!青春の季節!」
「えー?何それー?」
屋上のベンチに仰向けになった葵が
ケタケタと笑う。
同じく横で仰向けになっていた俺は
ガバッと起き上がり
上から葵の顔を覗き込んで言った。
「夏祭りに行こう!」
目を丸くさせている葵。
「ここの近くでさ
結構大きい規模のやつが
やるらしいんだよな!
さっき電信柱に張り紙あった!
花火も上がるみたいだし。
な!一緒に行こうよ!」
「うーん。」
言葉はそれだけだったけれど
やはり正直者。
顔には全部出ている。
目を輝かせて
なんだそれは!行きたい!
という顔をしていたかと思うと
たぶん行けない
という悲しそうな顔になる。
でも気になる…諦められない
という苦しそうな顔に変わって
こんなごちゃごちゃしたこと
優には言えない、困らせられない
という何とも困った笑顔を向けてくる。
「大丈夫だよ。
俺も一緒に先生に頼むよ。
それにもしかしたら
夏祭りまでに退院してるかもだし。
まだ先なんだから
それまでに体調万全にしよう!」
「そうだよね。
うん。頑張る。元気になるよ。」
「もし本当にダメだったら
内緒で抜け出しちゃおう。」
「えーっ?それはマズイんじゃ…」
「大丈夫、大丈夫!
バレなきゃいんだからさ!
もし怒られたら2人で謝ろ!な!」
「もー。僕は巻き込まれただけって言うよ。」
「おい、裏切り者!」
静かな屋上に2人の笑い声が重なった。
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