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夏休みに入って2週間。
ついに夏祭りまであと2日だ。
しかし、葵はまだ退院しておらず
さらには医師からの
外出の許可はおりなかった。
葵は「仕方ないよ。」と
本当に諦めたように言った。
俺は葵と夏祭りに行きたい。
葵を連れて行ってやりたい。
でも、それをただ葵に
ぶつけるだけでは
葵だって困ってしまうだろうし
辛いと思う。
だから…
夏祭りに行けるように
俺ができることをやろう。
「よーっす!」
「あー!優ちゃんだ!」
「お兄ちゃーん!」
「また来たのかよー?」
「遊ぼ遊ぼ!」
「こらこら、ひっぱんな!
わかったって!お前ら元気だなー」
本当に入院が必要なのかと
疑うほど元気な子供たちを相手に
プレイルームで過ごす。
おそらくあと30分のうちに
待ち人がやって来るはずだ。
「何して遊ぶ?」
「んーっとね、積み木!」
「えー、おままごとしようよ。」
「パズルしようぜ、パズル!」
「カルタしたーい。
優ちゃん、読んでよー。」
「困ったな。
そんないっぺんには無理だよ。
俺、1人しかいねーもん。
ジャンケンして
勝った人のやりたいやつから
やっていくってのは?」
『えー』
激しいブーイングの嵐だ。
口々に嫌だだの、
自分の次第遊びでないとしないだのと
騒いでいる。
…お子様どもめ。困ったな、どうしよう。
こういうときに
葵がいると上手く収めてくれるのだが。
そこまで考えてふと気づく。
そういえば
いつもならだいたいプレイルームで
子供の相手をしているはずの
葵の姿が見えない。
どうしたのだろうか。
まさか、具合が悪いのか?
病院に来てすぐに
一度部屋に寄ればよかった…
「皆、こんにちは。
今日もお兄ちゃんと遊んでいいねぇ。」
葵の部屋へ様子を見に行こうかと
考えていた矢先、待ち人が来た。
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