アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
35
-
顔をのぞかせたのは葵だった。
「優?起きてる?」
「葵!起きてるよ!
ちょうど葵のとこ行こうか迷ってた!」
「よかった。元気戻ったみたいだね。
そんなんで病室抜け出してたら
また皆に心配かけちゃうよ。
しばらくは大人しくしてなきゃ。ね?」
ふわりと笑う葵。
あぁ、よかった。ちゃんとここに葵はいる。
「会いたかったんだ。」
「どうしたの?何か用事だった?」
「変な夢を見たんだ。」
「どんな?」
「葵が俺を置いて消える夢。」
「…。」
「急に不安になった。
あんな風に葵が急に消えたら…
俺を置いて行っちゃったら…
目が覚めたとき側に葵がいなくて
葵がどっか遠くに行っちゃったんじゃ
ないかって不安で…
確かめたかったんだ。ここにいるって。
それで…会いに行こうとした…」
「…僕がいなくなっても寂しくないよ。
優には友達たくさんいるでしょ?
たくさんの中の1人が消えたところで
それは何もなくしてないのと同じだよ。」
「そんなことない!
確かに友達なんてたくさんいるよ。
でも、葵は友達の中の1人じゃない。
たくさんの中の1人じゃない。
俺の中で唯一の人なんだよ。
…俺、気づいたんだ。
葵がいなくなるって考えたら
凄く怖くて、悲しくて、寂しくて
生きていけないって思った。
そしたら、ただの友達の好きじゃないって
わかった。
俺、葵のこと好きだ。
この好きはあの好きだよ?
ほら、その…えっと…キ、キスしたいとか
そういう…」
言うはずではなかったことを
口走ってしまった後悔と
思春期には恥ずかしい単語を口に
することでしどろもどろになってきた。
あー!伝えたい事がまとまらない!
「葵が好きだ。大好きだ。
これからも一緒にいたい。
どこにもいかないで。
俺がどこまでもついていくから。
ずっと一緒によう。」
「…プロポーズみたいだ。」
葵は眉を八の字にして困ったような
照れたような笑顔で俺を見た。
「嘘みたい。本当の本当に?
今日は四月一日じゃないよね?」
目に涙をためてはにかんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 91