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囚われの人10
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この部屋、他に何かないか探したら出発しようか。
その一言で4人がさほど大きくない部屋に散る。ごそごそとチェスト以外に置かれていたベット脇の戸棚や本棚を漁りながらぼんやりと考えていた。ここはゲームの中の世界かもしれないこと、どうやって帰ればいいのかわからないこと、この部屋を出てすぐに見える果てしなく長い廊下の先にはいったい何があるのかということ。行き場のない疑問がぐるぐると回って、それこそ行き場を失くした不安や焦燥が堂々巡りを繰り返す。
一体、ここは何処なんだ。
「loveさんッ!?」
「loveくんッ!!」
突然、ぺんちゃんと朱梨さんのloveさんを呼ぶやけに焦った声が響き渡った。その声が持つ、大きな驚きに慌てて振り返った。
「loveさん!!」
「..ぁ.....あ.....。」
振り返れば、ぺたんと座り込む真っ青な顔のloveさんがいた。何かを握りしめている手は血の気を失い真っ白で、小さく肩が震えている。閉じられることを忘れたかのように小さく空いた口からは不明瞭な声が断続的に漏れていた。
「どうしたの?!なにかあった!?」
駆け寄ってその肩を掴めば、やはり見た目よりは男らしい肩。ぼんやりとした焦点の合わない目でこちらを見上げてくるloveさんは黙って握りしめていた紙切れを俺に差し出し、するりと手を抜けた。震えていた割には滑らかな動きに違和感を覚えものの、渡された少し黄ばんだ紙に目を通さずにはいられなかった。
機械的な字で書かれていたのは、あまりにも衝撃的なこと。
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