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(Side:雅)
何度真正面から好きだと言われても、俺にはそれに応えることなんてできなかった。マリは本当に可愛いし、身体の相性も悪くないし、セフレを続けるくらいは構わないかと思わなくもなかった。
でも、俺の直感が告げた。マリの中には誰かたった一人、特別な人がいる。試しにかまをかけてみたら、案の定だった。俺が龍弥に想いを寄せるように、マリも誰かに叶わぬ恋をしているのだろう。
マリを、俺の世界へ引きずり込むことは容易いかもしれない。マリは心の中の誰かに想いを寄せながらも、俺に対しても心底心酔してるみたいだった。悪魔の手を差し伸べて、共に堕ちてしまえば俺はどれ程幸せだろう。暗い世界で手を取り合って互いの傷を舐め合うなんて、想像するだけで甘美だった。
でも、それじゃいけない。俺には、堕ちた先のマリを支えてれる程の力はないし、それは負の連鎖を生むだけだ。母さんを失って心を壊した父さんが緊縛の世界に飛び込み、そして父さんが、弟に叶わぬ恋をする俺をこの世界に引き込んだこと。そのことをただ悪いことだと言うつもりもないし、俺は決して後悔しているつもりはないけど、だからといって他人であるマリまで引きずり込む権利は俺にはない。
可愛い可愛いマリ。必死で俺を繋ぎ止めようとしてるその手を、その熱いモノを今だけ握りしめて、ほんの少しだけ共に暗い淵へ落ちたいと思うのは、俺のわがままだろう。
「はぁっ、ぁぁ、雅さんっ、好き、雅さん......っ」
泣きながら俺を穿つマリに愛しさが募る。
「ぁん、ぁぁ、すごい......マリ、気持ちい......っん」
「イっちゃう、ねぇ、雅さんのナカに出したい......」
「いいよ、おいで......っ、はぁん、あぁ、マリ、マリ......」
どくん、とナカに熱が広がって、それからどさりとマリの身体が俺の上に重なってきた。
「......イきたくなかったのに......これが最後なんてやだからイきたくなかったのに......雅さんのナカ、気持ち良すぎ......ぅえぇん......」
「泣かないの。しばらくこうしてていいから」
「みやびさん......すき......」
目を閉じて少しだけ弟のことを思い出した。心の中で叶わぬ想いを告げる。そして、弟じゃない他人をぎゅっと抱きしめた。
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