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「これ、材料です!」
台所に置いたスーパーの袋から食材を出す
「ありがとう!…つか、本当になんもないな…」
引き出しを開けて何かを探す桐島さん
手に持ってコンロに置いたのは一つのフライパンだった
「…これしか無いって事は野菜炒めぐらいか」
そう呟きながら野菜を切り始める。俺はそれを任せて米を研ぐ
シャカシャカ、トントントントンと生活音が響き渡る
先生はというとタバコを吸いながらテレビを見ていた
これが先生と2人なら新婚みたいなのにな〜…
なんて浮かれすぎて馬鹿みたいな事を考えてしまった
だけど、そんな考えは桐島さんの一言によって砕かれてしまう
「陽くんって夏樹と付き合ってるよね」
ただその一言が俺の手を止めた。
水だけが流れて米が入った器に流れ込む
「そんな不安そうな顔しないで。大丈夫。誰にも言わないから」
蛇口を回して水を止めてくれる桐島さんの顔をどうしても見る事が出来なかった
「俺バイだからさ、なんとなく雰囲気で分かるんだよね」
人には言いにくい事を俺の為に言ってくれた桐島さんの言葉に不安は取り除かれていくような気がした
でも、なんて言えばいいかなんて俺には分からなくて
ただずっと耳を傾けていた
「アイツのあんな輝いた目見たの初めてなんだ
本当に陽くんが好きなんだなって思った。
でも負担が大きいのはきっと陽くんの方だし、二人の関係性だと普通の同性愛よりも高い壁が待ってる」
分かっていた事だ。でも人から言われるとやっぱり重くのしかかる
黙って下を向いている俺にまだまだ言葉は降り注ぐ
「夏樹は大人だから例えバレたとしてもなんとかなる。
でも、陽くんはまだ子供だ。バレたら未来がなくなるかもしれない
こんな事アイツがいる前で言う事では無いかもしれないけど……」
急に止まった言葉に桐島さんの方へと顔を向けた
目が合った桐島さんの顔は真剣な表情で二人の空間に緊張感を与えた
「今だけの期間限定の半端な気持ちでアイツと居るなら辞めてくれ。」
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