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あの胸にもう一度……
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・・・・・
あれは一体なんだったんだろう?
数日が経った今でも、王子様はあの夜のことが忘れられない。
「不思議だなあ。あれからちっともピーンってならないや」
じつは昨日も朝一番のトイレでこっそりといじってみたのだが、パタパタと小さく揺れるだけで一向に何かが起きる気配はなかった。
それでもオシッコをする時にああなってしまっては大変だから、こうやって毎日監視しているというわけだ。
「異常なーし」
高らかに言うと、王子様は部屋の姿見に向かって右手を上げて敬礼した。
全身が映る鏡には少年の誇らしげな顔が映っている。
しかしその笑顔は長くは続かなかった。
やがて何かを考え込むように眉を寄せると、王子様は目の前に掲げていた右手を小さな唇にそっと伸ばした。
「ソウゲツ……」
あの夜をともにした後も、大佐の態度は変わらなかった。
いつもどおり「おはよう」と言って朝食の卵の殻を剥いてくれる。「行ってきます」のキスをして、一生懸命働いて、帰ってきたら今日の出来事を話しあう。
眠る時は「おやすみ」と言って、優しく手を握ってくれる。
それだけでじゅうぶん幸せなはずだった。
だけど……。
「ソウゲツ……どうして……」
あの夜みたいに触ってくれないんだろう……?
それだけがどうしても気がかりだった。
身体が浮き上がってしまうような口づけはおろか、ねっとりとした貪欲な眼差しだって、まるでなかったかのようにあの夜を最後にぱったりとおあずけになってしまったのだ。
それが惜しいのかと聞かれれば、王子様には何とも言えなかった。
どうして彼があんなことをしたのかだって分からない。
だけど……。
夜が来るたびに感じる胸の高鳴りは、間違いなくあの日の行為を期待していた。
「してくださいって、頼んだら……」
ダメなのかな?
「ダメだよね……」
あれはいけないことだから。
きっと。
王子様は最後にむにゅむにゅと唇を触ると、気を取り直して今日の遊びに出かけることにした。
机の引き出しに隠してあったチョコレートの箱を持って元気よく廊下に出て行く――。
が。
まさにこの後、ひょんなことからあの夜について重大な事実を知ることになるのだった――。
・・・・・
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