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確かめあう
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・・・・・
次の日の夜――。
シトシトと小雨がちらつく中、大佐は家路を急いでいた。今夜は仕事の関係でいつもよりも帰りが遅くなったのだ。
夕食だけは王子様と一緒にと思い警視総監の誘いを断ったが、それでもずいぶん待たせてしまった。
先に食べてくれていることを願いつつ、屋敷のエントランスに車を乗りつける。すると執事のタキヤがいそいそと玄関のドアを開けてくれた。
「ソウゲツ大佐、お帰りなさいませ! ホラホラ、濡れますぞ。早く、早く!」
「タキヤか。今帰ったぞ」
足早に渡り、濡れた鞄と背広を預けると、大佐はキョロキョロと辺りを見回した。誰を探しているのか一目で分かったタキヤは、少々言いずらそうに切り出す。
「リオ王子ならずっとお部屋にいますよ」
大佐は拍子抜けしてしまった。
昨日は至れり尽くせりの熱烈なお出迎えをしてくれたので、今夜は傘を持ってくるかな? と、密かに期待していたのだ。
今朝だって次の休日に遊びに連れて行く約束をしたらとびきりの笑顔を見せてくれたのに......。
「身体の具合でも悪いのか?」
「夕食はきちんと召し上がりましたよ。ただ......」
「どうした?」
「テーブルについた時、何だか元気がありませんでしたなあ。事情を聞いても悲しそうにするだけで『大丈夫』と言うんです」
大佐は王子様の不調と聞いて落ちつかなかった。一体何があったというんだ......。
早々に食事を切り上げると急いで部屋に向かった。
この時、まさか自分が原因だったとは予想もしていなかった。
*****
枕元のランプの灯りがベッドのすみっこに寝転がる少年の髪を照らしている――。
「王子様、私だよ」
大佐はそっと近づいた。
毛布に手を伸ばしたが少年は目を開けなかった。もう寝てしまったのだろうか?
「おかえりなさい」と言ってくれるのを期待していたので、少し残念だ。起こしてしまうのは不本意だが、どうしても試みたくなる。
「遅くなってすみません」
帰宅のアピールを声に出したが、王子様はやっぱり返事をしてくれなかった。それどころかプイッとそっぽを向いてしまったではないか。
大佐は「おや」と思った。
起きているな......?
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