アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1
-
どうやら機嫌を損ねてふてくされているようだ。
しかし心当たりのない大佐は、ベッドに腰かけるなりいつものように王子の髪に手を伸ばした。
すると......。
「やだ!」
ピシャリと払われてしまった。
「どうした......?」
別に痛くも痒くもなかったが、その言葉と行為に驚いた。すると少々トゲを含んだ王子の声が「もう寝てるから」と返してくる。
まいったな……。
前代未聞の冷たい仕打ちは間違いなくこちらに小さな牙を向けている。腹を立てているらしいが、話をしてくれなければ解決のしようもないではないか......。
大佐はベッドに手をつき、少年の顔を覗きこんだ。
「王子様、少しお話しようか?」
「………」
「髪を触ってもいいかな?」
この言葉に王子様はピクリと耳を動かした。
しばらくモジモジと親指を口にくわえていたが……そのうちに、やっぱり無言のまま毛布をかぶってしまう。
これに焦燥した大佐はいてもたってもいられずに問答無用で王子の身体を抱き上げた。
「ああー! やめろー!」
「王子様、どうしてこっちを見ないんだ! 何か嫌なことをしたか? ん?」
「は、はなして……っ」
「謝るから訳を言ってくれ」
「んー……」
「仲直りさせて欲しい......!」
大佐の声に切迫した想いを感じたのか、王子様は突然ポロッと涙を流した。
緋色の瞳から、まるでルビーがこぼれ落ちたようだった――。
*****
膝の上に乗せて「よしよし」と背中を叩いてやると、落ち着いてきたのか、王子様はポツリポツリとしゃべりはじめた。
「......ウソ、ついた......」
「嘘?」
「うん......」
「私が?」
「......」
はて? やはり身に覚えがない。
「悪いな、分からないよ。どういうことだい?」
優しく尋ねると、少年はおずおずと顔を上げた。
こちらを見ると、勇気を奮わせるようにゴシゴシと涙をぬぐって呟いた。
「ソウゲツ......僕のことキライなの......?」
「君が嫌い? 有り得ないな」
「じゃあ......好き?」
「どうしてそんなことを思ったんだい?」
「............」
「嫌いな子にこんなことをすると思うかね?」
「あ......!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 206